倉悠貴
映画『OUT』
言葉にしなくても、みんながこの作品にかけている
覚悟や熱意を強く感じる現場でした
品川ヒロシ監督・脚本で大人気ヤンキー漫画が待望の実写映画化。そんな映画『OUT』にて、主人公の“伝説の超不良”である井口達也を演じる倉悠貴さん。インタビュー後編では、品川監督や共演者の皆さんの印象、撮影内外でのエピソードを中心に、現場の雰囲気について深堀りしていきます。
<映画『OUT』>
映画『ドロップ』の品川ヒロシが監督・脚本を務め、自身の中学時代からの友人で『ドロップ』にも登場する井口達也の青年時代を描いた実録不良漫画『OUT』の実写映画化作品。倉悠貴が主演を務め、醍醐虎汰朗、水上恒司、与田祐希(乃木坂46)らが共演。
品川監督の印象はいかがでしたか?
やっぱり芸人さんの観点を持っていらっしゃる方なので、どこがどうなったら面白くなるかということを一番理解されているし、アクションのことも詳しいですし、現場を盛り上げてくださりながら、実は常に冷静に見てくれる監督でした。それから『OUT』に対してすごく熱意を持っていて、この人についていけば間違いないという絶大な信頼感がありました。コメディな場面などは特に臨機応変に脚本を変えたりしていて、こんなにバンバン変更する監督ってなかなかいないんじゃないかなという印象です。
コメディシーンについて
品川監督のこだわりなどはいかがでしたか?
ノリツッコミのところとか「こんな感じなんだけど」みたいな感じで実際に見せてくださって、プロじゃん、って思うことが多かったです。間の取り方とかも本当に絶妙で、品川さんはご自分で編集もされるから、細かいところも冷静に見ていて。
品川監督や共演の水上恒司さんと
一緒にトレーニングをしたと伺いました。
そうですね。品川さんと水上くんの三人でジムに通っていたのですが、その中で僕と水上くんの間に生まれたものは多分きっとあって。その時間があったおかげもあって、撮影外でも自然に達也と要っぽい会話になったりしたんです。そういう雰囲気というか、役を徐々に作っていった感じはありましたね。
改めて水上さんの印象について教えてください。
水上くんと初めてお会いしたときは腰の低い方だなという印象だったのですが、撮影が進むにつれて現場でもどんどん要っぽくなっていくのを感じましたね。彼のおかげで他のキャストの方々とも良い関係性が築けたんじゃないかなと思っています。
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
醍醐虎汰朗さんはいかがでしたか?
醍醐くんとのシーンは現場でもずっと笑いが起きていて、毎回何を仕掛けてくるかわからないみたいな雰囲気があって、僕はすごく面白おかしくやらせていただきました。ただ台本を読んだだけだとやっぱりあの醍醐くんの演じる丹沢敦司というキャラクターにはならないというか、醍醐くんだからこそできることっていうのが見ていて伝わって、素晴らしかったです。すごく勉強になりましたね。
醍醐さんのアクションシーンも魅力的でしたね。
そうですね。自分がどこでどう入ればいいかというのを何回も監督と相談されていましたし、自分の中でいろいろ組み立てながら演じているんだなあと感じ、すごいと思いました。尊敬しています。
水上さんや醍醐さんなど「斬人」のメンバーとの
ボウリング場での掛け合いのシーンも
印象的でした。
あのシーンは正直、少し労力がかかりました(笑)。本読みの段階でセリフが倍ぐらいになっちゃって(笑)。やっぱりセリフ量が多いというか、テンポが速いシーンで声が続かなくなってくるので1回で終わらせようと思って撮影に臨んで、結果1発でOKが出て。大変でしたが印象的なシーンになりましたね。
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
おじちゃん(杉本哲太)、
おばちゃん(渡辺満里奈)との撮影は
いかがでしたか?
すごく温かいお二人で、お二人との焼肉屋のシーンだけまるで別の映画を撮っているような気分になりました。全体を通してテンポの良い映画なのですが、お二人とはゆっくりとリアルなテンポの会話をずっとしていて、別の現場に来たんじゃないかと思うくらいの安心感がありましたね。不良というよりも、反抗期の息子と両親みたいな空気感でした。大変なシーンもあったのですが、そこでもとにかく温かくて。
杉本さんとの共演は初めてでしたか?
はい、初めてでした。とても芸が細かいですし、お肉を切るだけのシーンでも撮影本番の何十分も前からずっと練習されていて、でもお芝居中はずっとフラットでいる方で、本当に先輩としてすごく勉強になりました。デビルマンの実写をやったほうがいいじゃないかって思うくらい強面の方ですけど(笑)、めちゃくちゃ優しい方でしたね。
ヒロインを演じる与田祐希さんの印象は
いかがでしたか?
初めは大人しめな印象だったのですが、撮影が進むにつれて慣れてきたのか、ユニークな部分も見えてきました。それこそ彼女が演じた千紘と同じように、強い部分と繊細な部分の両方を持ち合わせている方なんだろうなと思ったりもしました。あと、彼女にビンタをされるシーンがあるのですがすごく痛かったです(笑)。
痛かったんですね(笑)。
めちゃくちゃ(笑)。本番前は「慣れてないからどうしよう」って言っていたんですけどね……(笑)。そのあと達也がキレるシーンだったので、結果的にある意味ファインプレーでした(笑)。
与田さんのユニークな部分というのは
具体的に何かエピソードが?
現場でなんかすごい……芋を食べていましたね(笑)。今回のキャストの中で現場で一番自然体でいられる方だったんじゃないかなと思います。柔軟性があるというか。だからこそお芝居で打ち合わせをすることはあまりなくて、彼女が持っている空気感みたいなものがそのままお芝居に表れていたんじゃないかという感じでした。
現場の雰囲気も明るそうな印象を受けました。
そうですね。撮影以外でも実際に、誰と誰が一緒によくいるな、っていう作品内と同じ関係が自然とできていたりして、例えば目黒(大平祥生)と田口(小柳心)なんかはよく一緒にいましたね。僕は割と孤立派でした(笑)。
そうなんですね!?
はい(笑)。撮影中もずっとみんなに「お前『斬人』じゃねぇから」って言われていましたね(笑)。でも振り返ってみるとめちゃくちゃ熱い現場だったと思います。なかなか同世代がこんなに集まる現場も珍しいと思いますし。
お互いにライバル意識みたいなものは
あったのでしょうか?
ライバル意識というわけではないですけど、おそらくみんなが胸の奥に「絶対こいつらより上手く演じてみせるぞ」みたいな気持ちはあったんじゃないかなと思います。それくらい、なにか言葉にしなくてもみんながこの作品にかけている覚悟や熱意を強く感じるような現場でした。僕は自分のことで精いっぱいでしたけど(笑)。
倉悠貴
くら ゆうき
非常に暑い中の外での撮影に加え、芝生に寝転がったりもしていただきましたが、嫌な顔一つせず臨んでくださった倉さん。チェキが撮れないハプニングにも「大丈夫ですよ!」と優しい言葉をかけてくださいました。同じ場所で取材を受けられていた品川監督と笑顔でお話しする姿が親子のようで、スタッフはほっこり。FAST初登場、ありがとうございました!
1999年12月19日生まれ。
最近の出演作に、ドラマ『わたしの一番最悪なともだち』(‘23)、『犬と屑』(‘23)、『だが、情熱はある』(‘23)、『かしましめし』(‘23)、映画『禁じられた遊び』(‘23)、『こいびとのみつけかた』(‘23)、などがあり、映画『市子』(‘23)の公開を控える。また、出演した映画『コーポ・ア・コーポ』が公開中。
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
映画『OUT』
2023年11月17日(金)より全国公開中
出演:倉 悠貴 醍醐虎汰朗 与田祐希(乃木坂46) ⽔上恒司
與那城 奨(JO1) ⼤平祥⽣(JO1) ⾦城碧海(JO1)
小柳 心 久遠 親 山崎竜太郎 宮澤 佑 長田拓郎 仲野 温
じろう(シソンヌ) 大悟(千鳥) 庄司智春(品川庄司)/渡辺満里奈 杉本哲太
原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)
監督・脚本:品川ヒロシ
制作:吉本興業 制作協力:ザフール 配給:KADOKAWA
Ⓒ2023『OUT』製作委員会
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:NOBUKIYO
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
インタビュー:小枝指優樹
記事:小枝指優樹/緒方百恵