兵頭功海
「映画だから与えられる影響がある。映画の力を信じています!」
2018年にGYAOとアミューズが共同実施したオーディションでグランプリを受賞。その後、映画「五億円のじんせい」でデビュー以来、数々の話題作に出演し、昨年公開の映画「消せない記憶」では主演を務めるなど、今注目の俳優・兵頭功海さん。インタビュー後編では、兵頭さんが18歳の頃に悩んでいたことや、これから演じてみたい役どころ、ご自身が感化された作品についてなど、熱い思いを一生懸命話してくださいました!
「大人」と「子供」の狭間にいる「18歳」をテーマにした主演映画「18歳のおとなたち」にちなみ、兵頭さんが18歳のころはどんなことを考え、悩んでいましたか?
僕は野球を続けるか、続けないかで迷っていました。小学生のころから野球を続けて、高校では甲子園を目指していたのですが、ケガをしてピッチャーとして投げることができず、決勝でも負けてしまって。その先、大学でも野球をやってみるか、プロを目指すのかと色々考えた時に「野球をやる人生は、もうここまででいいかな」って思ったんです。
僕の中では、野球をやっている最高点のゴールがプロ野球選手だったんです。だけど、もし仮にプロ野球選手になる目標が叶ったとして、その後も一生野球をやる人生より、他にやりたいことをみつけてみたいなと思うようになったので、主に進路のことで悩んでいました。
そこから今の俳優業に至るまで、どんな経緯があったのでしょうか。
野球をやめてどうしようかと思っていたら、母に「上京して、東京にもまれてくれば」とか「竹下通りを歩いたら、スカウトされるんじゃない?」って言われて「確かにそれも楽しそうだな」と思い、その一言で「じゃあ東京に行ってくるわ!」という感じで上京しました。「やる」と決めたらすぐに行動に移すタイプなので、その時にはもう迷いはなかったです。
それで今のご活躍があるとはすごい行動力と運命ですね! そうして俳優になり、一度諦めた野球も、ドラマ「下剋上球児」の役として、また別の形で繋がりましたね。
役者という形でまた野球に関わることができるとは思っていなかったので、嬉しかったですね。年齢もあと2年遅かったらあの役はできていなかったと思うので、ギリギリセーフでした(笑)。
野球以外に「これは活かせるな」と思う特技や趣味はなにかありますか?
基本的に運動が得意なので、アクション系は今まで他の作品でも割とやってきましたが、バトルマンガのような作品の実写化にいつか出演してみたいです。あとはギターが好きなのですが、最近触る機会があまりないので、ギターを弾く役どころもいいなぁ。例えば、シンガーソングライターとかバンドとか、そういう役でまたギターに触れる機会があったら楽しそうですね。家でひとりで弾いていてもなんだかさみしいので(笑)、披露する場所があったらいいなと思います。
以前、Instagramで「見た人の心を救えるようなすてきな作品に出会えますように」という一文を投稿されていましたが、兵頭さんが「誰かの心を救うため」に心がけていることがあれば教えてください。
僕が出演した作品を見た人の心を救えるようになるためにできることは、いただいた役にどれだけ一生懸命向き合うことができるかしかないと思っています。なので、「一緒にこの作品をやらないか」と声をかけてもらって、一緒に作品を作った人たちに「また兵頭とやりたい」と言ってもらい、また次の作品を作っていく。そのためには、作品や役に僕の私情は入れられないので、ひとつひとつの役と、現場での人との出会いをひとつひとつ大切にするしかないなと思っています。
ご自身が「救われたな」と感じた作品はありますか?
俳優という仕事をちゃんとやりたいと思わせてくれた作品のひとつが 「GO」という映画でした。最初は「窪塚洋介さんかっこいいな」と思って見たのですが、在日朝鮮人の方々が抱える悩みや葛藤、問題みたいなことを暗く取り上げずに、すごくポップに描いているんですよ。それって映画の全てだなと思ったんです。普段ニュースを見ない人でも、僕のように窪塚さん目当てで映画を見た人が、在日朝鮮人の方々の悩みや国の問題を、作品を通して知ることができるのは映画の持つ力だと思います。
今回の「18歳のおとなたち」もそうで、国や社会が「18歳=成人」と決めたけど、その時18歳だった人たちが当時どれだけ悩んでいたんだろうって思うんです。僕が演じたマコトも、いきなり世間から「今日から君たちは成人です」と言われても、本人たちはよく理解できていないし「大人とは?」という葛藤に苦しんでいるんです。「成人になったからどうなるのか、どうすればいいのか」はニュースを見ても分からないことだと思うけど、この映画を観たら、もしかしたら何かが分かるかもしれないし、その入り口が「僕のことを知っているから観た」でもいいんですよ。それに、実際は報道されにくいことでも、映画だと伝えられることがあるかもしれない。そういう意味では僕も心が救われて原動力になったし、映画にはそういう力があると信じています。
兵頭功海
ひょうどう かつみ
1998年4月15日生まれ。
作品もご自身についてもお話される時はとても熱い兵頭さん!かと思いきや、時折見せる可愛らしいお茶目な一面を見てどちらもありのままの兵頭さんなんだと感じました。「作品は正解がないからこそたくさんの人に色々な思いを感じとってほしい」という言葉はとても素敵でした!そして、身長がとても高い兵頭さん。チェキ撮影では、スタッフにそっと身長を合わせて気遣ってくださる優しさはとても紳士的でした。初出演ありがとうございました!これからも納得するまで考え、行動される兵頭さんを応援しております!
最近の出演作に、テレビドラマでは、日本テレビ系『となりのナースエイド』(‘24)、TBS系『下剋上球児』(‘23)、読売テレビ・日本テレビ系『COOD-願いの代償-』(‘23)、WOWOW『ドロップ』(‘23)、WOWOW『ドラフトキング』(‘23)、映画では、『消せない記憶』(‘23)などがある。
©︎ゴールデンシネマ
「18歳のおとなたち」作品概要
兵頭功海 三原羽衣 黒田昊夢 久田莉子
黒田アーサー 金子みひろ 阿部亮平 デビット伊東
奥野太陽 東瑞輝 上野山夢輝(子役) 長谷川晏(子役)
中島知子 雛形あきこ
監督・編集:佐藤周
脚本:磐木大
製作:千田幸博
プロデューサー:木谷真規
2024年3月1日(金)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国公開中
撮影:安岡洋史 照明:目黒裕太郎 録音:黒沢秋 美術:東京美工
装飾:今泉直人 スタイリスト:石橋万里 ヘアメイク:董冰 助監督:土山晃憲
協力プロデューサー:ワダシンスケ キャスティング:吉澤豪起 唐松公次
AP:髙橋亜美 制作担当:渡辺亮太 制作進行:岡田義生 デザイン:泉智尋
美術協力:片山くるみ 音響効果:伊藤誠 劇伴:吉村彰一
ポストプロダクションプロデューサー:稲村剛義
宣伝プロモーション:橋加那子 西村雄大 渡邊彩那
宣伝協力:髙木真寿美 配給協力:山口和浩 金野祥子
音楽:四月の魚
主題歌「ぎんいろをふりまきながら」(作詞:福留瞬 作曲:吉村彰一 歌:サブリナ)
企画制作:エクセリング
宣伝配給:レイワジャパン
配給協力:Santa Barbara Pictures
©ゴールデンシネマ
2023/日本/88分/カラー/ビスタサイズ/2KDCP/ステレオ
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:木内真奈美
スタイリスト:Shinya Tokita
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿