渡邊圭祐×松岡広大
広大は役を底上げする能力が高い
2021年放送のドラマ『推しの王子様』で注目を集めると、次々と話題作に出演。放送中の大河ドラマ『光る君へ』でも存在感を放っている渡邊圭祐さん。2015年にライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』で初主演を果たすと、浪漫活劇『るろうに剣心』などの2.5次元作品のほか、『ニュージーズ』『スリル・ミー』などミュージカル作品への出演も多く、若くして実力派と評される松岡広大さん。映画『八犬伝』が初共演となった二人は、同じ事務所でプライベートでも仲よしとのことで、お互いの印象などもお聞きしました。
©2024 『八犬伝』FILM PARTNERS.
映画『八犬伝』のなかで、役所さん演じる滝沢馬琴のセリフに「悪が勝つこともあるこんな世の中だからこそ、別の世の中を読者に味わってもらいたい。つまり虚の世界だ」というものがあります。虚の世界という意味ではお芝居にも通ずるセリフかと思いますが、共感する部分はありますか?
松岡広大(以下、松岡):言ってしまえば、芝居もウソの世界だと思います。我々は、そのウソのなかに何か本当のものを見つけようとしていますが、正直芸術を必要としていない人もるかもしれない。
そうなんですね。
松岡:でも、そういうものこそ愛おしく感じたりするじゃないですか。そういう余地があるから、僕は自分のためにも芝居をやっています。誰かのためにと思ってやっていると、時には“なんで理解してくれないんだ”とか、だんだんとその相手に責任転嫁したくなることもあると思うので。僕がやりたいからやっている、というスタンスで動いています。
渡邊圭祐(渡邊):極論をいうと、僕は、自分と、自分の周りの数人が幸せだったらいいなと思っているんですよ。とりあえず自分が幸せで、周りにそれを振りまけたら最高じゃないですか、という感じなので。結局お芝居も、自分が楽しいからやっているというか。楽しみながら働く……生きていくための術として役者を選んでいるだけで、立派な心構えみたいなものはないんです。“この芝居を見た人に、こうあってほしい”とかっていうのは特にないですし、見てくれた人が何かしら豊かになってくれたらいいな、と思っています。
松岡:うん、そうだよね。
渡邊:人間って、それぞれ素晴らしいけど、そんな偉大じゃないぞっていう。
松岡:あー、いいこと言うなぁ。
渡邊:現実的に自分の手の届く範囲までが幸せであればいいかなって。関わる人全員とかってわけじゃなくて。楽しんでいます。
「楽しむ」というワードは、渡邊さんがよく口にされる印象があります。
渡邊:デビュー当時に言ってしまったもので。無理やりねじ込んでいるんです(笑)。
松岡:いや、そんなに縛られなくても(笑)。
渡邊:でも、楽しんでやらないとダメだな、とは思うので。
松岡:たしかにそうだよね。
お互いに感じている役者としての魅力は?
松岡:圭祐は、芝居にクセがない。スゴいよね。
渡邊:ホントですか!?ありがとうございます。
松岡:キャラクターはもちろんあるんですけど、それ以外の悪目立ちするようなクセがないなといつも思っています。
渡邊:こんなに肉づけするのが好きな性格なのにね(笑)。
松岡:あははは!本当はそのチョイスもあったんだろうけど、たぶんしてなかったんだろうね。
渡邊:たぶんね。
松岡:それが、すごくステキです。僕が言うのはおこがましいですけど。
渡邊:いやいや、ありがとうございます!僕が一番といってもいいぐらい広大の尊敬している部分は、アクションだったり踊りだったり、カラダを使うことに長けているところ。そこがまず、一つ強みとしてあると思います。
松岡:うん。
渡邊:作品や役について、ものすごく真面目に考えるんですよ。それが表には出ていないにせよ、バックボーンに持っているということが、役の厚みをすごく増している気がするんです。勉強熱心で、知恵を蓄える術をちゃんと持っているというか。そういう部分は、やっぱりすごく尊敬できます。ホントにスゴいと思う。技術的なところだけじゃなく、役を底上げする能力が高い気がします。
松岡:ありがとうございます。
渡邊:だから、どの役もそうですが、映画の尺の関係上、すべてを描くことはできないので、描かれない部分をどう補填していくかっていうのは、完全に役者の仕事なんですけど。そこの仕事ぶりが、すごくプロフェッショナルだなと思います。
松岡:ありがとうございます。
渡邊:大丈夫ですか?これぐらいで。
松岡:いや、もう十分ですよ。
渡邊:さっき(ホメて)いただいたぶんは、お返しできたかなと(笑)。
松岡:そういうことね(笑)。ありがとうございます。
スマートな表情と顔つきでカッコよく登場された渡邊さんとニッコニコの笑顔で楽しそうに入ってきてくださった松岡さん。2人とも撮影中でもずっと和気藹々としていて、微笑ましい画を見ながら撮影を進めることができました。どちらも写真ではソファーを今回は使用しましたが、どちらも違った表情や雰囲気をお二人が演出をしてくださいました。カッコよくそれでいて綺麗なお写真は現場にいる私たちでさえ引き込まれるような良さがありました。
これからも異なる朗らかさと明るさを持ち合わせている渡邊さんと松岡さんのご活躍を応援しております!
渡邊さんは半年ぶりの松岡さんは約3年ぶりのご出演ありがとうございました!
渡邊圭祐
わたなべ けいすけ
1993年11月21日生まれ。
最近の出演作に、ドラマではNHK『光る君へ』(‘24)、朝日放送テレビ『あなたの恋人、強奪します。』(‘24)、テレビ東京『95』(‘24)、映画では、『三日月とネコ』(‘24)などがある。12月13日『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』、2025年3月20日と5月1日には『女神降臨 Before/After』が公開予定。
松岡広大
まつおか こうだい
1997年8月9日生まれ。
最近の出演作に、テレビ東京『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』 (‘24)、NHK連続テレビ小説『らんまん』(‘23)、映画では、『赤羽骨子のボディーガード』(‘24)、『沈黙の艦隊』(‘23)などがある。
©2024 『八犬伝』FILM PARTNERS.
原作:『八犬伝 上・下』 山田風太郎(角川文庫刊) 監督・脚本:曽利文彦
出演:役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木 仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久 創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、大貫勇輔、立川談春、黒木華、寺島しのぶ
製作:木下グループ 制作プロダクション:unfilm 配給:キノフィルムズ 2023/日本 G
※Team Credit
渡邊さん
スタイリスト: 岡本健太郎
ヘアメイク: 荒木美穂(KOOGEN)
松岡さん
スタイリスト:岡本健太郎
ヘアメイク:堤紗也香
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿