北山宏光
一生懸命やる!ということに関しては変わってない
ドラマ『君が獣になる前に』『DOCTOR PRICE』に出演し、2026年1月期には『AKIBA LOST』が控えるなど、俳優として活躍する一方で、アーティストとしても多彩な活動で多くの人を魅了し続ける北山宏光さん。主演を務める舞台『醉いどれ天使』にちなんだお話のほか、役者としての変化についても語っていただきました。

『醉いどれ天使』で北山さん演じる松永にとっては手帳が重要アイテムですが、ご自身も創作や気持ちの整理などのために、心に浮かんだことを書き留めたりしますか?
僕、メモ癖があるので、ずっとケータイにメモはしています。街を歩いているときに、商品のキャッチフレーズを見て“なに、この着眼点!?おもしろ!”みたいに思ったら、メモしたりとか。あとは、マンガを読んでいるときにグッときたセリフとか。意外に、読切作品がよかったりするんです。やっぱり、限られたページ数のなかで作者が書きたいことをバッと書くから、いい文章になっていたりするのかな。そういうものを抜粋してメモしたりとか。
メモしたものが、クリエイティブなことに活かされたりするのでしょうか。
たとえば、歌詞を書くときとか。メロディーを聴きながら“あっ、これハマりそうだな。こっちの方向性がよさそうだな”って、なんとなく世界観ができたときに、そういえば、あのときにいいフレーズをメモしたなと思い出して見直したり。そこから自分なりにイメージを膨らませて、言葉をどんどんどんどん増やしていって、みたいな作り方をすることもあります。
では、『醉いどれ天使』というタイトルにちなんで……ご自身で“天使”だと思う部分を教えてください。
あっ、醉いどれのほうじゃなくて(笑)?

それでもよいですが(笑)。
いやいやいやいや!天使だなと思う部分!?ないなー。
あっ、ないですか?
うん、ない。大人になればなるほど、なくなっていきません?というか、大人になればなるほど、自分のことを天使とか言っている人って、マズくない(笑)?まぁ、自分以外のものに対して天使だなと思うことはあります。友達の子どもとかに“なんじゃ、それ!?”ってなったりします。
“なんじゃ、それ!?”とは?
まだ赤ちゃんでしゃべれなかった子が、ひさしぶりに会ったら話しかけてきた!みたいなときは、胸が締め

松永を演じているだけに(笑)。
そうそう(笑)。あとは、子猫とかにも、けっこう日常
役者として多くの作品に出演されていますが、お芝居への向き合い方は、当初とくらべると変わっていますか?
いや、変わってないかな。
たとえば、台本の読み方なども?
そういうのは変わっています。歳を重ねたということもあります。あとは、知識とかも増えてきて、テクニカル的なところはもちろん変わってきたと思うし。本の読み方も、自分のセリフだけでなく、相手のセリフの咀嚼のしかたも全然変わったと思うんですけど。一生懸命やる!ということに関しては変わってないです。

セリフの咀嚼のしかたが変わったというのは?
たとえば、台本には「嫌いだ!」と書いてあっても、サブテキストでは「好き!」だったりとか。そのセリフの裏側というか、発している言葉と、裏で思っていること……感情が、複雑なパズルみたいになっていたりするから。自分がAという役を演じるときに、“僕は、こういうサブテキストをたくさん持ってきたんですけど”という読み方をしてみたりするんですけど。そうすると、プロデューサーや演出家の方に“あっ、そうきたんだ”と思ってもらえたり、「それ、おもしろいね」ということになったりするんです。
では、台本に書き込むことも多いですか?
けっこう書き込みはするかも。(書き込みを)しない人ってカッコいいなと思うんですけど。台本が真っ白な人、カッコよくないですか?あこがれる!……けど、僕には無理だ(笑)。
今回、6年ぶりの主演舞台となりますが、北山さんの楽屋のれん事情を伺えたらなと。
今回、僕がお願いして、ウチの社長に作っていただきました。なので、社長の名前が入ったのれんです。

舞台、映像問わず主演を務めることも多いですが、座長として常に心がけていることがあれば教えてください。
主演というものへの考え方が、僕はちょっと映画の現場的かもしれないです。主役というものは存在するけど、最終的に、映画って1本の作品なんだなと思うときがあって。ドラマもそうですけど、撮影部とか俳優部とか、みんなで作っているっていう……どう言ったらいいんだろうな、主役というのは作品を観てもらうための……なんて言うんですか?
看板?
かな?うーん、でも、看板といったらちょっとおこがましいような……。
代表?
そういう感じなのかな?要は、作品というのはみんなで作っているんだから、僕だけがよければいいっていう芝居も違うし。もし、大道具さんがしんどいと感じる場面があるんだったら、「じゃあ、もっと違うようにしたほうがいいね」と寄り添うことも必要だし。そのカンパニーで1カ月稽古をするのだから、とにかく楽しくできるように、ということは心がけています。

座長としては、稽古場などへの差し入れにも気を遣うと思いますが、テッパンのものがあったりしますか?
今までは、(テッパンが)なかったんです。だから毎回、困っていたんです。でも今回、見つけたんです。
何ですか!?
『醉いどれ天使』の舞台監督が持ってきてくれたんですけど、袋に小分けで入っているラーメンスナックみたいな。
製作発表のとき、岡田結実さんが「北山さんが、よく食べている」とおっしゃっていた?
そう!あれ、めっちゃうまいの。そのままでも食べられるし、お湯をかけてふやかしてもいけるし。ホントにどの現場でも喜ばれるクオリティで。且つ、通販サイトを見ると“何十袋入り”みたいな形でも売られているから、お得に買えそうだし(笑)。今後の現場でリピートしようと思います。

北山宏光
きたやま ひろみつ
1985年9月17日生まれ。
インタビューは撮影とは別の日の稽古が始まったタイミングでお話をお聞きしましたが、稽古が始まってすぐも感覚を掴まれているとはっきりおっしゃられる姿は流石の一言につきました。またインタビュー中も作品的にも暗い質問や話でもラフに重くなりすぎないように北山さんらしい雰囲気とトーンで話してくださるので、お話を聞いていてもとても楽しい雰囲気でインタビューをすることができました。これからもお茶目で人の懐に飛び込むのが上手ながらも、作品や仕事に対する姿勢は誰よりもストイックな北山さんのご活躍を応援しております。初登場ありがとうございました。
最近の出演作に、読売テレビ・日本テレビ『DOCTOR PRICE』(‘25)、テレビ東京『君が獣になる前に』(‘24) などがあり、1月期ドラマの『AKIBA LOST』(‘26)が控えている。

<公演情報>
『醉いどれ天使』
原作:黒澤明 植草圭之助
脚本:蓬莱竜太
演出:深作健太
出演:北山宏光
渡辺 大 横山由依・岡田結実(Wキャスト) 阪口珠美 / 佐藤仁美 大鶴義丹 ほか
公演スケジュール:2025年11月7日(金)~23日(日)
会場:明治座
公演スケジュール:2025年11月28日(金)~30日(日)
会場:御園座
公演スケジュール:2025年12月5日(金)~14日(日)
会場:新歌舞伎座
※Item Credit
◯ブランド
・ジャケット \96,800-
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2点ともMAHITO MOTOYOSHI(JOYEUX)
※全て税込価格です
◯問い合わせ先
・JOYEUX
tel:03-4361-4464
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:大島 智恵美
スタイリスト:柴田 圭
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
