吉野北人×松井奏
映画『遺書、公開。』
狙いすぎるとウソ臭くなってしまうので、その場での気持ちを大事に演じた
映画『遺書、公開。』で池永柊夜を演じ、主演を務める吉野北人さんと、勉強もスポーツもそつなくこなすクラスのNo.1男子・赤﨑理人を演じる松井奏さんが登場!自身の役どころの印象や撮影現場で流行っていたことなど、ざっくばらんに語っていただきました。

©2024 映画「遺書、公開。」製作委員会
<あらすじ>
新学期の春、私立灰嶺学園2年D組に送られてきた〈序列〉。そこには、生徒と担任教師の順位が示されていた。序列1位の姫山椿(堀未央奈)はやさしくて人気者で、誰もが認める優等生。だがある日、彼女が何の前触れもなく自殺してしまう。数日後、クラス全員に姫山から遺書が届き、その日から学級崩壊が始まる。果たして、生徒たちを最後に待ち受けるものは……!?

©2024 映画「遺書、公開。」製作委員会
ご自身の演じた役の印象を教えてください。
吉野北人(以下、吉野):僕の演じる池永柊夜は、とても内気で地味な印象ですね。あまり前に出るタイプではないけど、正義感が強く、バシッと言うときは言うキャラクターだなと思いました。序列にも歯向かっていたし。
松井奏(以下、松井):歯向かっていたね(笑)。僕の演じる赤﨑理人は、まずサイテーっていう(笑)。たぶん地頭がよくて、いろんなことをそつなくこなせて、計算できて。クラスメイトみんなと話せるような表の顔を持ちつつ、裏はもう最低な、ホントに……クズです(苦笑)。
役作りはどのように?
吉野:ほかのクラスメイトがホントに個性豊かで、感情を爆発させるようなキャラクターだったので、逆に僕はなるべく抑えようというか。熱意はあるんだけど、あまり出しすぎないというか。視聴者目線に立ったキャラクターでいるように意識して、監督とも話しながら役を作っていきました。
松井:僕も、監督といっぱいお話しをしました。なるべくドシッと構えて、ヘラヘラしないように意識しつつ。一気に感情をバーンと出すシーンでは、恥ずかしさとかも全部取っ払ってやりきろうと。あとは、北人くんをはじめキャストのみなさんがリアクションしてくださったことで、役に乗れた……乗せてもらった感があります。みなさんが理人をクズにしてくれたというか。ホントにみなさんに支えてもらいました。

英監督の演出はいかがでしたか?
吉野:いや、ホントにすごく助けてもらいました。まさに現場の指揮者です。
松井:うんうん。
吉野:段取りのときから、セリフを言う人以外の人たちにも「ここではこういう会話をして」と指示をしてくださったり、「ここはどういう気持ちだと思う?」と聞いてくださったりと、常にキャストの気持ちを理解してくださる方だったので、最後まで集中して緊張感を持ちながら役に臨めたと思います。
松井:愛のある方です。作品に対してもキャストに対しても、ものすごく愛を感じました。撮影日の朝は、必ず監督がメイク部屋に来てくださるんです。「松井くん、今日の調子はどう?」とか、全員に声をかけてくださって。
吉野:そうだったね。
松井:他愛もないことなんだけど、そうやって監督と話をすることで、僕らのモチベーションというか、士気が一気に上がるんです。
監督の助言によって、さらによくなったシーンなどはありますか?
松井:赤﨑がわーっと怒るシーンがあるんですけど、どうやったらいいかわからなくて監督に相談したんです。そうしたら、「ここはもう、教室を使った赤﨑ショーだから」とおっしゃったんです。「赤﨑の独壇場にしちゃえ」と。そのひと言で、“あっ、もうやっちゃっていいんだ”と吹っ切れて。机を叩きまくったり、自由に動き回ることができました。

感情のままに動けたと。
松井:そうです。台本にはないけど、勝手に壁に話しかけたりとか(笑)。結果的に監督のOKをもらえたので、ホッとしました。1回、北人くんにめっちゃ指を差したことがあったよね。
吉野:あーっ、そうそう!
松井:全然関係ないところで、池永に向かって「そう!」って(笑)。あれも、監督のアイデアだったんです。
吉野:あっ、あれ、そうなんだ!?
松井:そう。監督に「誰を指す?」と聞かれて、「うーん、廿日市(くるみ/志田彩良)とかじゃないですか?」と言ったら、「いや、北人くんにいっちゃおう!」って(笑)。
吉野:あははは!そういうことだったんだ?僕自身は、そこまで激しいシーンがなかったので、「そのままでいいよ」という感じでした。もちろん、微調整とかはありましたけど。それに、池永という役は狙いすぎてもウソ臭くなってしまうので、その場での気持ちを大事にしてやっていました。

公式ホームページやSNSでキャラクタービジュアルなどが公開された際、期待に満ちたコメントがたくさん寄せられました。
松井:僕の場合、初めての映画出演だったので、(IMP.の)メンバーにもファンのみなさんにも、そこが喜んでもらえるポイントになったんじゃないかなと思います。あと、北人くんもですけど、僕もこの作品のために黒髪にしたので。ビジュアルの変化も、“何かあるのかな!?”みたいに思ってもらえたかもしれないです。
吉野:最初の告知の“キラキラ青春モノ”みたいな感じから、急に序列があるとか、自殺しちゃって~というようにどんでん返しがあったので。ファンのみなさんからは、「予告からすでにおもしろそう」とか「すごく怖そう」という声をいただきました。(THE RAMPAGEの)メンバーは、「めちゃくちゃおもしろそうだね」「早く(映画を)観にいきたい」と言ってくれました。
ひさしぶりに黒髪の自分を見て、どう思いましたか?
松井:なんか……かわいくなったなと思いました(笑)。実は僕、役作りで髪を染めるというのに憧れがあったんです。ちょっと役者っぽいじゃないですか(笑)。だから、うれしさもありました。
吉野:僕は、若返ったなって(笑)。いや、もうすぐ28歳になるので、メンタル面も含めて、高校生役大丈夫かな!?という気持ちがあったんです。でも、黒髪にしたことによって一気に学生っぽくなったので、撮影はバッチリでした。

今回演じられたキャラクターとご自身の共通点を教えてください。
松井:赤﨑との共通点は、ホントに1個もないかもしれないです。たぶん赤﨑は友達も多いですけど、僕はそうでもないし。なんでもそつなくこなせるタイプでもないので、何もかもが違うと思います。
正反対のキャラクターを演じるのは難しいですか? それとも、逆にやりやすいのでしょうか。
松井:あー、どうだろう?“こういうの、カッコよくない?”みたいな、ちょっとした理想像を演じていたかもしれないです。
吉野:僕はあまり前に出るタイプではないので、そこは池永と似ています。グループ会議のときも、メンバーが16人いることもあって、そんなに前に出ることがないというか、みんなに合わせることが多いんですよ。そういう内気なところはすごく似ていると思います。あと、“やるときはやるぞ!”というところ?
松井:お~!
吉野:僕は、ステージに立ったら誰よりもやるよ!というタイプなんですけど。池永も言うときは言うので、そこは似ています。

撮影期間中に現場で流行っていたことはありますか?
松井:北人くんが、よく差し入れをしてくださったんですけど、コーヒーとかはブームになっていました。キャラメルっぽいのとかチョコっぽいのとか、いろんなフレーバーがあるんです!寒いときとか、「あったかいね~」って温まりながら、みんなでいただきました。
吉野:まぁ、一応、座長みたいな感じだったので。
松井:“みたいな”じゃないよ(笑)!
吉野:“LDHといえば差し入れ”みたいなイメージがあるじゃないですか(笑)。
松井:あっ、そうなんだ?
吉野:そう。だから、差し入れは誰よりもしようと思っていましたね。
座長として、キャストのみなさんをまとめようと働きかけたことはありますか?
吉野:それこそ、僕は積極的に引っ張るタイプではないですし。逆に、みんながやりやすいようなフラットな関係がいいなと思ったので、“座長だから”という雰囲気をあんまり出さずに……ね?
松井:うん、そうだ。北人くんは、みんなとフラットに話していた印象があります。

松井さんは映画初出演ですが、現場で心がけていたことは?
松井:右も左もわからない状態だったので、ちゃんと人の話を聞こうと思っていました。監督もそうですし、みなさんのセリフとかもちゃんと聞こうっていう意識を……まぁ、当たり前のことですけど、持っていました。
お二人ともグループで音楽活動をされていますが、空き時間などに共通の話題で盛り上がったりすることも?
吉野:ないっすね。
松井:いや、あったよ(笑)!
吉野:はい、ありました(笑)。それこそ奏は、映画の撮影期間中に(IMP.の)ライブもやっていたので。ライブ翌日の撮影現場では、無表情のまま一人でボーッと座っていることがあって。
松井:あははは!
吉野:僕も、すごく気持ちがわかるんです。気持ちの切り替えが大変だから。それで、いろいろ話してね。
松井:うん。ライブの後って、現実とのギャップでちょっと気分が落ちちゃうんですよ。疲れとかじゃなくて、あのキラキラした世界とのギャップでズーンとなっちゃうんです。そこに共感してくれる人って、なかなかいないので、北人くんに「ツラいよな」と言ってもらえたのがうれしくて。そこから、よくお話しするようになりました。

1日色々なメディア取材の中で、疲れた表情を一切見せずインタビューも撮影も全力で臨んでくれた、吉野さんと松井さん。インタビューでも、作品のこともたくさんいろんなメディアでお話しをしていただいていた中で、なんとか新しい話を届けてくれようとする、ファンサービスの素晴らしさにFASTスタッフは頭が上がらないくらい高いプロ意識を見せてくださいました。記事の後編では、作品から少し離れたこれからお二人で行きたいところややりたいことなどもお聞きしております。お楽しみに!
吉野北人
よしの ほくと
1997年3月6日生まれ。THE RANPAGEのメンバー。
最近の出演作に、Amazon Original『1122』(‘24)、フジテレビ系『スタンドUPスタート』(‘23)、カンテレ/フジテレビ系『魔法のリノベ』(‘22)、Prime Video『1122』、映画では、『MY (K)NIGHT マイ・ナイト』(‘23)、『HiGH&LOW THE WORST X』(‘22)、がある。
松井奏
まつい みなと
2000年9月2日生まれ。男性アイドルグループ・IMP.のメンバー。
最近の出演作に、日本テレビ『先に生まれただけの僕』があり、BSNにて、『BSN水曜見ナイト』のレギュラー。

©2024 映画「遺書、公開。」製作委員会
『遺書、公開。』
2025年1月31日(金)全国公開
出演:吉野北人 宮世琉弥 志田彩良
松井奏(IMP.) 髙石あかり 堀未央奈 忍成修吾
上村海成 川島鈴遥 荒井啓志 松本大輝 星乃夢奈 榊原有那 藤堂日向 菊地姫奈 大峰ユリホ
阿佐辰美 兼光ほのか 日髙麻鈴 大東立樹 金野美穂 鈴川紗由 浅野竣哉 青島心 楽駆
原作:陽 東太郎「遺書、公開。」(ガンガンコミックスJOKER/スクウェア・エニックス刊)
監督:英勉 脚本:鈴木おさむ
企画製作:HI-AX 製作プロダクション:ダブ 配給:松竹
※Team Credit
吉野さん
スタイリスト:大木利保(CONTINUE)
ヘアメイク:吉田ケイスケ
松井さん
スタイリスト:大森創太(IKEDAYA TOKYO)
ヘアメイク:Sota Omori(IKEDAYA TOKYO)
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿