萩原利久
いつか後輩たちに
自分の背中を見て学んでもらえるように
10月22日から放送中のドラマ『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に出演している萩原利久さん。記憶を失った空を通して「失ったものを受け入れること」に対する考えや、自身の仕事への向き合い方、事務所の先輩後輩への思いなどもお話しいただきました。
今作の空と美璃も、「記憶」や「夢」といった
大切なものを失いますが、
積み重ねてきたものを失ったことを
受け入れるのは中々難しいことですよね。
そうですね。人によって受け入れ方は色々あると思います。僕は悩みを誰かと共有することはあまりせずに自分で消化するタイプなのですが、それまでの記憶が残っているからこそ、受け入れるにはやっぱり時間が必要なんじゃないかな。空の場合は記憶を失ったことの自覚もあるので、自分の証である記憶がなくなることはどんなに不安で怖いことなんだろうと思います。
積み重ねてきたことによって
得たものもありますよね。
萩原さんは近年、
俳優業以外の仕事の幅や量も増えていますが
ご自身ではどう受け止めていらっしゃいますか。
目の前のものを一生懸命やるという向き合い方は前から同じスタンスなので、仕事が増えたからといって自分の中で取り組み方や意識が変わったわけではないですが、仕事が増えることも出演作が続くのもありがたいことなので、感謝しながら一つ一つを真剣にやっていくということは僕の中で大前提としてあります。
仕事が多岐に渡ることの難しさを
どんなところに感じますか。
脳みそも含めて、使うところもやることも全然違うので、同じラインではやっていないかもしれないです。キャスターにしろバラエティにしろ、どれも全然違うことをやるからこそ、ある意味で俳優をしている時と切り替えられるところはあるのかなと思います。僕はこれまでお芝居以外のことをそんなにやってきたわけではないので不慣れなこともたくさんありますが、まずは自分自身が楽しんでできればいいなと思っています。
「楽しむ」で言えば、今年の
『TopCoat夏祭り2023
〜いい夏にしようぜ!〜』
のバスケ対決では大活躍で!
瞳が少年のように輝いていましたよ。
いや~、でも若い子ってすごいなと思いました。「後輩のみんなは全然疲れないな」って(笑)。10代の子たちとはもう体力が違うんだということを節々で感じました。
徐々に後輩を引っ張っていくポジションに
なってきました。
僕も20代半ばになって、自分よりも年下の人がどんどん事務所に入ってきて、気づいたら後輩がたくさんできていたのですが、僕は後輩だった期間が長すぎるので、自分に後輩がいることにまだ全然慣れないんです。
ご自身が先輩から学んだことや
影響を受けたことはありますか?
現場での立ち振る舞いや仕事との向き合い方は、先輩方からたくさん学んだ気がします。うちの事務所の先輩たちは、手取り足取り教えるのではなく、どちらかというと各々がやっている姿を見せることで、後輩が自分から吸収していくような感じなんです。よく言う「背中で語る」じゃないですけど、僕もいつか自分の背中を見てもらえるようになれたらいいなと思います。
なんだか料理人の師弟関係みたいですね。
そうですね。それに、一人一人が違う武器や長所があって、先輩方はそういうご自身の強みを最大限に活かしてお仕事をしているように見えるんです。なので、僕も自分の強みで勝負できるようになりたいです。
ご自身の強みは見つかりましたか。
それともまだ模索中?
自分で長所であり短所だなと思うのは、物事にはまった時の探求心ですね。そこは比較的ある方かなと思っているし、1つの役を掘り下げ続けるという点では、広く浅くではなく、深く狭く突き詰められることはこの仕事向きの要素だと思うので、その強みをこれからの仕事によりいかせたらいいなと思います。
恋愛ものへの出演が続いていますが、
役者として身についたスキルはありますか?
人からの見られ方や、見せ方は多少意識するようにはなったかなと思います。それは『美しい彼』の時から続いていることで、僕の中ではそれが象徴的な現場でもありました。ただ、演じる上ではそこが余計になる部分でもあるんです。僕はだれかを演じる時、よりナチュラルに、1人の人間として自然にいられることが理想なので、そのスキルは高めたいです。あと、僕は割と「0か100か」といった極端なところがあるので、ちゃんと間の「50」を見つけられるようなスキルも身につけたいです。
萩原利久
はぎわら りく
撮影同様とても和やかに進んだインタビュー。たくさん考えながらご自身の言葉でお話しくださり、頭の中の言葉がどんどんこぼれ落ちてくるようでした。ご自身に対しても役に対しても真摯に向き合い、穏やかな中にとても熱い心がある方なのだと感じました。お久しぶりの登場、ありがとうございました!
1999年2月28日生まれ。
最近の出演作に、ドラマ『真夏のシンデレラ』(‘23)、『月読くんの禁断お夜食』(‘23)、『美しい彼 シーズン2』(‘23)、映画『ミステリと言う勿れ』(‘23)、『キングダム 運命の炎』(‘23)、『おとななじみ』(‘23)、『劇場版 美しい彼〜eternal〜』(‘23)などがある。
©ABCテレビ
『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系
毎週日曜よる10時放送
出演 ・ 堀田真由 萩原利久
風間俊介 岡田結実 畑芽育
/ 松井玲奈 森香澄
丸山智己 須藤理彩 加藤貴子 / 檀れい
※Item Credit
シャツ¥99,000
タンクトップ ¥39,050
パンツ ¥126,500
(すべてアミ パリス/アミ パリス ジャパン)
その他はスタイリスト私物
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:カスヤユウスケ(ADDICT_CASE)
スタイリスト:Shinya Tokita
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/緒方百恵