中川大志
最後の最後は自分の直感を大事にしている
小学生の頃に役者デビュー。その後、ラブストーリーの王子様から戦国武将まで、変幻自在に役を生き、様々なジャンルの作品で存在感を放っている中川大志さん。20代半ばを迎え、役作りの方法も徐々に変化しているという彼に、現在の心持ちや、忙しい日々のなかでのリフレッシュ法などを伺いました。5年前、「FAST」初登場時の質問への回答もアップデートしていただいています。
これまで様々な作品に出演されてきましたが、
役へアプローチしていく際に
意識することはありますか?
ちょっとずつ変わってきていますね。10代の頃とも全然違うし、いまだに悔しい思いもいっぱいあるし。なんでもっとうまくできないんだろうとか、“なんで、なんで?”って自分の力不足を感じる瞬間が、それこそ日々いっぱいあるんですけど。今、自分が大事にしているというか、毎回どんな作品に対しても意識しているのは……お芝居って、自分じゃない誰かを演じるわけじゃないですか。でもやっぱり、自分じゃない誰かにはなれない。自分のなかにあるものからしか出せないんですよね。中川大志が何をされたらうれしいのか、何をされたら悲しいのか、そういう湧き出てくる感情の部分は僕でしかないと思うので。そこを役とどういうふうに結びつけていけるかをすごく考えます。
具体的には、どのように?
その役が好きな食べ物=僕の好きな食べ物ではないので、その役が好きなものと同じくらい自分が好きなものってなんだろうっていうのを考えるんです。その役が悲しんでいる状況があったら、自分がこれくらい悲しい状況ってなんだろう?と考える。こういうインタビューなどで、「役に共感できる部分はどこですか」とか「役と通じる部分はどこですか」と聞かれたりすることがありますが、意外に自分のことって自分ではわからなかったりするので。監督や演出家の方に見つけていただいて、新たな発見をすることもあります。今回も、自分の知らない自分が出てきたらおもしろいですね。
多忙な日々を送っていると、アウトプットする
ばかりになってしまいそうですが、意識して
インプットしていることはありますか?
いや~、意識してインプットしようと思っても、どうしても物理的にムリなときもあるんですよね……。ただ、どんなに忙しくても息抜きをするようにはしています。人とちょっと会ってみようかなとか、家族に電話してみようかなとか、そういうちょっとした時間が息抜きになったりするんです。それは意識的にというよりは、ちょっと息が詰まったり、話したいことがたまったりすると、自然と誰かに会いたいと思うようになるので。そういうときは、自分の心に従うようにしています。
そういうときは、役者仲間に
会ったりもしますか?
うーん、役者仲間には会わないかな。異業種に就いている友達が多いので、自分の仕事とは関係ない人としゃべることが多いかもしれません。
もともと舞台が好きだったというお話も
ありましたが、舞台出演という部分で
今後の目標があれば教えてください。
舞台に関しては、僕はまだまだ赤ん坊のような状態なので、ホントにいろいろなジャンルの作品をやってみたいですし、いろいろな大きさの劇場に立ってみたいですし……もう、欲を言えばきりがないくらいあります。今、友人の劇団の舞台を手伝ったりもしているんですが、今後も舞台には立ち続けたいですね。
「FAST」に初めてご登場いただいたのが
2019年なので、約5年前になるのですが……。
あっ、そうなんですね!5年前かー。
その際に“中川大志の軸”を伺ったのですが、
「第一印象を大切にする」という回答でした。
第一印象や直感を大事にするというのは、たぶん変わっていないですね。ただ、これまで活動してきたなかで、“直感だけでは、なんとも判断できないよね”という局面にも直面してきたので。それだけではダメだと思うようになったのは、変化した部分かな。でも、今も最後の最後は直感を大事にしています。自分が信じられるかどうか、ですね。
座右の銘は「当たって砕けろ」と
答えていらっしゃいました。
フフッ。そうですね、「当たって砕けろ」と言っていたのはよく覚えています。とにかくやってみるということですよね。それも、今も変わっていないと思います。
ただ、様々な経験を積むことによって
守りに入ってしまう部分もありませんか?
実は、その先にもう一つ好きな言葉があって。「それは失敗ではなく、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだ」というエジソンの言葉なんですけど。何事も経験というか。“あっ、自分ってこういうことが苦手なんだな”とか“こういうことができなかったんだな”と思うことがあったとしても、それによって“こうすると自分はうまくいかない”という答えを得られたわけだから、成功なんですよね。
もう一つ先の境地にたどり着いたのですね。
だから、逆に言うと“砕けろ”という意識はもうないかもしれないですね。もちろん、新しいことに挑戦してみたいという気持ちは今も変わらずありますけど。同時に、失敗した経験を生かして、同じようなことは繰り返さないようにしようと思えるようになりました。
中川大志
なかがわ たいし
1998年6月14日生まれ。
インタビューでは、登場と同時に周りに「ここ少し寒くないですか?」とナチュラルに気遣う優しさがとても素敵でした。お話しされる時は考える時も話されている時も必ず人のことをまっすぐ見つめる視線と身振り手振りで表現されている姿は中川さんの誠実さを感じました。そして、色々な経験からも初心を忘れずにブレない軸として持たれている言葉は、今も変わらないとハッキリ言い切られた瞬間は、こちらもグッとくるような力強さがありました。これからもたくさんの経験や出会いが増えつつも初心を忘れずに大切にされている中川さんのことを応援しております!ありがとうございました。
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS『Eye Love You』(‘24)、フジテレビ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(‘23)、NHK 連続テレビ小説『らんまん』(‘23)、映画では、5月公開予定キノフィルムズ『碁盤斬り』(‘24)、映画『スクロール』(‘23)、4月期のドラマでは、テレビ東京『95』(‘24)に出演中。
【作品情報】
Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演
『儚き光のラプソディ』
【作・演出】 岸谷五朗
【出演】 中川大志 風間俊介 鈴木福 三浦涼介 佐奈宏紀 保坂知寿/岸谷五朗 寺脇康文 他
【東京公演】 2024年4月28日(日)~5月26日(日) 明治座
【大阪公演】 2024年5月31日(金)~6月9日(日) SkyシアターMBS
※Item Credit
衣装:ブルゾン¥64,900、シャツ¥49,500、パンツ¥47,300/UJOH(M)
その他、スタイリスト私物
【問い合わせ先】
- M
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-18-25
03-6721-0406
※Team Credit
カメラマン:八重樫ケイン
ヘアメイク:堤紗也香
スタイリスト:徳永貴士
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿