八木勇征
「グループのためになるなら」という思いが今でもずっと一番強い
どこか儚げな繊細さと、ブレない信念や芯の強さを兼ね備えている八木勇征さん。インタビュー後編では、これまでの俳優経験から芽生えた思いや、7月に行われたFANTASTICS単独ライブの感触、さらにはご自身がお好きな恋愛作品についても教えていただきました。(*取材は7月下旬)

現在放送中のドラマ『推しが上司になりまして フルスロットル』で八木さんが演じている旬は、2.5次元の舞台で活躍していた俳優という役どころですが、ご自身は2.5次元の舞台にどのような印象をお持ちですか?
動画サイトに上がっているゲネプロの映像や、色々な作品を自分でもよく調べて見ていて、一回、2.5次元の舞台を生で見てみたい気持ちがずっとあるくらい興味があります。観客をその世界観に引っ張っていく見せ方や、キャストの皆さんのお芝居もすごく上手で、エンタメとしての全体的なクオリティが高いんですよね。原作のキャラクターがそのまま目の前に存在しているようですし、声だけ聞いても、多分アニメーションや漫画で見ている人も違和感がないと思いますし、そういった声でお芝居するからこそ、引っかかることなく世界観に入り込めるんだなと思うので、リスペクトの気持ちはどんどん高くなっています。なので、今作で愛衣さんが“推し”として熱烈に愛する気持ちも分かるし、それくらい“沼”に引きずり込んでいってくれる魅力があるなと思います。
2021年にドラマ「美しい彼」で本格的に俳優活動をスタートし、これまで様々な役を演じてこられましたが、これまでの俳優としての経験を振り返ってみて、今どんなことを思いますか?
気づいたらこんなに時が経っているんだなと思う気持ちと、まだまだやったことのないこともたくさんあるので、もっと濃い密度でやりたいですね。あとは、キャスティングしてくださった方が「八木勇征じゃなきゃダメだ」と思ってくれる役や作品をもっとやっていきたいなという思いは、前よりも強くなった気がします。

具体的に演じてみたい役など、新たに芽生えた思いはありますか?
例えば、同じ人が見ていても、作品ごとに「あれ?この人ってこんな顔していたかな?」とか「八木くんのお芝居ってこんな感じだったっけ?」と思ってもらえるような違いを意識することはより強く思うようになりました。特に、別作品とキャラクターの内面が近い作品があった場合は、より前の時と似ないように演じることを心がけています。
そこまで一つの役ごとに内面も細かく深く考えられるようになったのは、これまでの積み重ねの証ですね。
そうですね。やっぱり何事も経験しないとできないことがあると思います。俳優を始めた最初の頃も内面を意識して演じるようにしていましたけど、演じるキャラクターのバックボーンをもっと深掘りしていくことは、今の方が圧倒的に解像度が高くなってきているかなと思います。

アーティスト活動についても、お聞きしたいです。7月にさいたまスーパーアリーナで行われたFANTASTICSの単独ライブでは「新たな挑戦」をテーマに掲げて挑まれたと伺いましたが、その挑戦を経て、今どんな手ごたえを感じていますか。
メンバー各々が確実にレベルアップとスキルアップできた3日間だったんじゃないかなと思います。その経験を経て、9月の全国アリーナツアーに進んでいくので、あの3日間がなかったら、レベルアップした自分たちでアリーナツアーができていたか分からないって思うくらい、すごく大事な3日間だと思います。
FANTASTICSのメンバーと一緒だからできる「挑戦」と、八木さん個人としてできる「挑戦」を、それぞれどのようにお考えですか?
グループとしては、デビューする前からのメンバー全員の夢である「ドームツアー」というのは少しもブレることなく今も変わっていないので、それができるようになるために僕も個人活動に力を注いでいるし「グループのためになるなら」という思いが一番強いんです。もちろん、個人で成し遂げたいこともたくさんありますが、自分の頑張る原動力の一番の割合を占めているのは、グループに還元できることなんです。

「グループのために」という思いは、八木さんがこれまで一貫して仰っていることですよね。
そうですね。そこがなくなってしまったら、自分がグループにいる意味がなくなっちゃうので。
デビューしてから今まで、全力で駆け抜けてこられたと思います。多忙な日々の中で、ふと自分を見失ってしまうことや、方向性を見失ってしまいそうになったことはありませんでしたか?
それはないですね。元々そんなに感情が落ちるようなことがないですし、そんなことを考える暇もないくらい、全力でやってきたということもあるのですが、今になって思うのは、改めてもっと別の角度からインプットする時間が必要だなということです。今までは、新しい現場に行くたびにインプットできることがあるから、それ以外のインプットの時間ってあまりいらないじゃないかなと思っていた時もあったんです。でも、そういう時間を経験したことがないからこそ、やってみないと分からないこともあるんじゃないかなと思うので、今後はそういう時間も設けてみたいです。

8月に公開された主演映画「隣のステラ」に続き、キュンキュンする恋愛作品への出演が続きますが、八木さんが好きなラブストーリーを教えてください。
三浦春馬さんが出ていらした「恋空」は特に好きで、数々の不幸や、幾多の困難に苦しみながらも、一途に人を愛して前向きに生きようとする姿は、今見てもめちゃくちゃ泣けます。僕が好きな恋愛作品って、恋愛感情だけで「悲しい」や「嬉しい」があるのではなく、そこに「命」や「生死」というものを通して、その重みや「恋しい」などの相手を思いやる気持ちが描かれている物語がすごく胸に刺さってくるんです。儚さや人の生きる力強さを感じますし、そういうところに心が動かされて惹かれるので、恋人に限らず、家族やペットなど、一緒に過ごす時間を作品のテーマに一つ置いているような作品に出てみたいなという気持ちは、最近とても感じています。
お忙しい毎日かと思いますが、最近はどんなことでリフレッシュしていますか?
今まではずっと「サウナ」と言っていたんですけど、最近はずっとアプリに没頭していて、プライベートの時間は「ポケポケ」(*「ポケモンカード」を手軽にコレクションできるアプリ「Pokémon Trading Card Game Pocket」のこと)ばっかりやっています。

前回ご登場いただいた際、「炊飯器が届いたらまずは白いご飯を炊きたい!」とお話しされていましたが、その後の近況を教えてください。
実はまだ届いてないので(取材は7月下旬)炊けていないんです。届いていたら、今「炊きました!」っていうお話しができるんですけど……。もう少しお待ちください(笑)。
無事に炊飯器が届いてご飯を炊いたら、どんなおかずを合わせたいですか?
お母さんが作る、牛すじ煮込みです!(即答)それが僕にとって「母親の味」という感じで、きっと作るのは大変だと思うんですけど、「牛すじ煮込み作って!」ってよくリクエストしています。まずその作り方を教わって、頑張ってレパートリーを増やしていければいいな。と言っても、今はまだ全然弱気なんですけど……(苦笑)。

自炊ができたら、きっと楽しいと思いますよ。
そうですよね。きっと料理もインプットの時間になると思うので、そういう楽しみを作る時間もこの先持てたらいいなと思います。

八木勇征
やぎ ゆうせい
1997年5月6日生まれ。FANTASTICSのボーカル。
インタビューはドラマの撮影後にお時間をいただきましたが、待っていると駆け足で、「お待たせしてすみません」っと入ってきてくださり、スマートで細やかな気配りはすごく紳士的で素敵でした。作品については、撮影最初ということもあり、探り探りやられていることや、夏場の撮影の大変さなど、たくさん話してくださいました。グループでの目標も聞いているこちらも胸が熱くなるお話ばかりでした。これからもグループの目標のために、少しでも多くの場で活躍され着実に目標達成に向けて歩みを止めない八木さんのご活躍を応援しております。今年2度目のご登場ありがとうございました!
最近の出演作に、テレビドラマでは、MBS・TBS『あやしいパートナー』(‘25)、テレビ朝日『南くんが恋人⁉』(‘24)、フジテレビ『婚活1000本ノック』(‘24)、映画では、『隣のステラ』(‘25)、『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(‘25)、『矢野くんの普通の日々』などがある。

©「推しが上司になりまして フルスロットル」製作委員会
ドラマ NEXT『推しが上司になりまして フルスロットル』
毎週水曜深夜24時30分〜放送中
動画配信サービス「U-NEXT」では毎週水曜21時より各話1週間独占先行配信中
原案・設定協力:漫画/森永いと、原作/東ゆき『推しが上司になりまして』(DPN ブックス)
脚本:綿種アヤ、阿相クミコ、東ゆき、川村庄子(テレビ東京)
監督:本田隆一、久万真路、佐藤恵梨子
プロデューサー:川村庄子(テレビ東京)、小田彩(アクシーズ)
出演:鈴木愛理、八木勇征(FANTASTICS)ほか
制作:テレビ東京、アクシーズ
©「推しが上司になりまして フルスロットル」製作委員会
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:福田翠(Luana)
スタイリスト:中瀬 拓外
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿
