間宮祥太朗
映画『殺さない彼と死なない彼女』
Twitter発の実写映画化に身を投じた、
彼の見る作中の愛の形—
映画『殺さない彼と死なない彼女』
<あらすじ>
何にも興味が持てず、退屈な高校生活を送っていた少年・小坂れい(間宮祥太朗)は、リストカット常習者で“死にたがり”の少女・鹿野なな(桜井日奈子)に出会う。それまで周囲から孤立していた二人は、《ハチの埋葬》をきっかけに同じ時間をともに過ごすようになる。不器用なやりとりを繰り返しながらも、自分を受け入れ、そばに寄り添ってくれるあたたかな存在―そんな相手との出会いは、互いの心の傷を癒し、二人は前を向いて歩み出していくのだが…。
小坂れい×間宮祥太朗
小坂は「悲劇のヒロイン」。挫折したことで感傷に浸り続けている悲劇のヒロインだと思いました。「無感動・無関心」と、映画の冒頭で言っているんですが、元来はそういう人間ではないと思っていて。ちゃんと元々の明るさみたいなものはある人なんです。自分にとっての悲劇的な出来事に浸り、自身の居方を変えてしまった少年なんじゃないかな。はたから見ると、哀愁のある感じに見えるかもしれないけれど、実はそんなことはなくて。そういう居方で居るほうが、自分にとって一番楽だったんだと思いますね。
原作はTwitter発の4コマ漫画。
元々、原作はご存知でしたか?
知りませんでした。映画化のお話を聞いてから読み始めました。最初は「どうやって映画にするのかな?」と思いましたね。さらに「Twitterで泣けると話題の4コマ漫画」と聞いていたので、泣かせに来るものだと思って読んでみたら、タッチが全く違って(笑)。「感動させよう!」みたいな、いやらしい匂いを全然感じなかったんです。自分の中で「泣ける」というハードルがスッとなくなって、素直に作品を受け入れることが出来ました。
小坂と鹿野は、ラブストーリーにしては
かなり変化球なカップルですが
2人のカップルの形についてはどう思いましたか?
個人的にはむしろ自然な形だと思いました。常に愛をささやき合っているカップルの方が信用ならないと思っている節があるので(笑)。好きな相手だからこそ、ぶっきらぼうな物言いになったり、「常に何かのケアをしなきゃ!」といったスタンスでいなくていいのは自然に感じましたね。
個性的なキャラクターたちが登場する今作。
間宮さんの推しキャラはいましたか?
推しキャラ、というわけではないんですが、映画を観ていて「うわ!」と思ったのは大和撫子(箭内夢菜)が告白をするシーン。現場では鹿野とサイコキラーくん(中尾暢樹)としかほぼ会っていなかったんですが、「撫子ちゃんのシーンは監督が時間をかけた」と噂で聞いていたので、ずっと観たかったんです(笑)。小林監督は女性を可愛く撮ることに長けている方。その監督の技術と相まって、「このシーンずっと見てられるな」と思うようなシーンになっていました(笑)。魅力が爆発しているというか(笑)。撫子は口調も言葉も現代風じゃない言い回しが多くて、そのセリフを完全に言いこなせているわけじゃない感じが良いんですよね。ストレートに放たれたセリフと撫子の口調が絡んで、心地よさを感じました。
リハ―サルをしっかり重ねて撮影していく
小林監督のスタイル。
撮影はどんな様子で進んでいきましたか?
けっこうテイク数は重ねました。多い時で長回し20テイクくらいあったんじゃないかな。話し合いをしてイメージを固めて、というよりは撮影をしていく中で「こうしたいけれど、こうしたらどうなるのか」といったように、動きながら現場でどんどん変化していく感じでした。監督も「同じ動き、同じ感情で、はいらないよ。毎テイク違っていいよ」と言ってくれて。テイクによっては乗らない時もあったんですが、その乗っていない雰囲気さえも、その場で生まれたものとして採用するスタイルで撮影が進んでいきました。
4コマ漫画独特のリズム感は
意識されていたんですか?
僕以外の方は分かりませんが、僕はほぼ無視していました。とは言え、世紀末さんの書かれた小坂と鹿野のリズムは意識するようにしていたかな。テンポをよくすると言うよりは、「~したいな」というセリフを、本当に「~したい」と思うまでは言わずに“間”を取ろうとしてみたり。長回しだと、“間”をつめることが出来ないじゃないですか。だからこそ、リアルな“間”を作ることで長回しをする意味がそこに生まれるんじゃないかなと思ったんです。
実際に映画をご覧になって、
その“間”は活かされていましたか?
“間”って贅沢だけど欲しいよな、と思いましたね。決められた2時間に情報をパンパンに詰め込むことも可能だけれど、“間”があって、その“間”を楽しむことが出来るのも映画のいい部分だと思うし、無言の時間に観客が考える時間もできると思うんです。今回は流れのままにお芝居をして、それを贅沢に使っていただけてすごく嬉しかったですね。
では最後に、小坂役を演じた感想を
聞かせてください。
僕的にはやりやすい役でした。セリフもそうですし、自分自身「こういう風にやろう」と考えずにその場にいられたのも良かったです。撮影が始まる前に「こうしよう」と考えるのではなく、「始まったな~」と思って始められる。力を抜いてお芝居ができることをすごく楽しんでいましたし、そうじゃなきゃ生まれなかったものが映画に反映されていて、それもすごく幸せだなと思いました。だからこそ、鹿野と小坂のように、桜井さんと僕もリラックスした状態で馴染んでいくことができて。加えて、鹿野と桜井さん、小坂と僕も撮影を通して馴染んでいけた気がします。
間宮祥太朗の軸
“どうでもいいことは、本当にどうでもいい”
選択に迫られる時はたくさんあるのですが、「何でもいいよ」と返すこともけっこう多いんです。その時は本当に何でもいいんですよね。「何でもいいよ」という時か、「二択なら絶対にこっちしかないな」という時しか基本なくて。選択をしようとしている時点で、自分の中でどっちがいいかは決まっていることが多くて、「やりたい!」と思ったことには固執するタイプ。なので、選択はめちゃくちゃ早い方です。僕が「やる」「やめる」と言ったことに両親がストップをかけたことがなかったので、人生の中での決断はスパッと決めていきましたね。
好きな言葉
「やるべき事をやるだけさ。
だから上手くいくんだよ」
(映画『アイデン&ティティ』)
僕、ロックミュージックが好きで、音楽を聴いたりアーティストが言っていた言葉を自分の中に残したりしているんですが、この言葉は『アイデン&ティティ』という映画の中で心に残ったセリフです。“やるべき事”って、自分がやるべき事であって“義務”という意味のやるべき事ではないんですよね。自分が「これをしなければならない」と感じることをやるから上手くいくし、その結果がどうであれ自分に納得が置けると思うんです。それが後で後悔しないことにも繋がると思っています。「あの時こうすれば」だとか「今これでいいのかな」とか、そういう風に思いたくない。そのためにも参考にしている言葉の一つですね。
間宮祥太朗
まみや しょうたろう
1993年6月11日生まれ。
ハッキリと物事を見極める瞬発力、冷淡で華やかなルックスと澄んだ瞳が印象深い26歳。
映画『殺さない彼と死なない彼女』/ 小坂れい役
監督・脚本:小林啓一
出演:間宮祥太朗・桜井日奈子・恒松祐里・堀田真由・箭内夢菜・ゆうたろう ほか
2019年11月15日(金) 新宿バルト9ほか 全国ロードショー
※チームクレジット
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:三宅茜
スタイリスト:津野真吾(impiger)
ディレクション:町山博彦
インタビュー・編集:満斗りょう