増子敦貴
ミュージカル『東京ラブストーリー』
音楽の力を借りながら
熱量高い作品を経験させてもらってます
舞台、ドラマと常に新たな作品と向き合い続ける増子敦貴さん。2022年11月27日よりスタートしたミュージカル作品『東京ラブストーリー』で、増子さんは主人公・永尾完治の友人である三上健一を好演中。長年愛される人気作品の初ミュージカル化にあたり、どのような想いで挑んだのか? 現在東京公演を終え、12月〜2023年1月には地方公演を控える彼の心情に迫りました。
<あらすじ>
“恋愛の神様”と称される漫画家・柴門ふみが1988年に発表した漫画「東京ラブストーリー」。1991年にはフジテレビがテレビドラマ化し、「月曜の9時には渋谷から人がいなくなる」と言われるほどの社会現象を巻き起こした。そして今年、30年の時を超えて、近年オリジナル・ミュージカルの制作に力を入れるホリプロが、本作を世界で初めてミュージカル化する。物語の舞台は2018年春。愛媛・今治に本社のある『しまなみタオル』の東京支社に異動になった永尾完治は、アフリカ育ちの天真爛漫な女性・赤名リカと共に新プロジェクトを任される。 ある日、既に上京していた地元の高校の同級生・三上健一に会いに行くと、完治が高校時代から想いを寄せる、関口さとみもやって来た。 昔話で盛り上がりつつも、予想外の再会に動揺する完治。そこに突然、リカが現れた。……この夜、恋が動き出す。
ご自身が生まれる前から人気の作品が
ミュージカル化。出演すると決まったときは
どんなお気持ちでしたか?
『東京ラブストーリー』という作品自体は見たことはなくとも人気作品であることは知っていたので、作品について調べれば調べるほど作品の大きさを実感しました。僕が演じる三上健一を、1991年のドラマ版では江口洋介さんが演じていらっしゃったので、プレッシャーや緊張の気持ちがどんどん大きくなって…。それを解消するためにも早く稽古に入りたいなと思ってました。出演のお話をいただいたときは素直に嬉しかったけど、数秒後には「既存の作品ファンの方々に受け入れてもらえるのか?」と不安がおそってきました。
原作漫画からドラマまで
すべてご覧になったとお聞きしました。
ミュージカル版を演じるにあたって、
参考にしたことや違いに驚いたことは
ありますか?
原作漫画、’91年のドラマ版、’20年の令和ドラマ版のすべてを拝見して、三上はそれぞれ違うタイプで描かれている印象がありました。なので、演じる人と作り方によって色んな一面が見れるキャラクターなのかも、と思いました。その中でとくに原作版の三上に魅力を感じたんですよ。僕が考える三上に一番近かったこともあり、参考に…というより、お芝居のイメージがつきやすかったです。
三上を演じる上で意識していることや、
むずかしいと感じるところを教えてください。
今までは愛されたい一心で女性と接していたのが、とある女性に対しては、愛を求めるよりも「愛したい」と本気で思うようになる。三上が愛を与えたいと思えるようになるまでの成長を見せることを意識しています。本気で愛する女性とは2人きりで話すシーンはそこまで多くないので、他の女性の前では見せない姿をさらけ出しているよう、限られた短い共演シーンで演じるのがむずかしいですね。
友人の完治というキャラクターについては
どう感じましたか?
相手のことを好きだと思ったら気持ちが揺らがない、芯が強い人だと思いました。ただ完治は自分に自信がないばかりに、相手に対して一歩踏み出せないのが欠点。逆に三上は好きな人にアプローチをかけることができるけど、なかなか本気で好きになれない。足りないところが対照的で、お互いに無いものを持っているから、尊敬も嫉妬もする間柄です。
今回は“海”と“空”の
ダブルキャストで上演されます。
増子さんがいる“海”キャストは
どんな雰囲気ですか?
“海”キャストはみんな同世代で、どこへ行くにも固まって行動してます。稽古終わりも集団下校みたいというか(笑)。グループLINEも朝から「おはよう!」「初日がんばろうね!」などメッセージのやりとりをずっと続けてるくらい仲が良いし、チームワークは“空”のみなさんにも負けないくらいあるんじゃないかなと思ってます! “空”は“海”よりも上の年代の方々が演じられるので、自分たちは“空”とは違うフレッシュな恋愛ストーリーにしていこうと稽古の時から話し合っていました。
交互に稽古をしていたそうですが、
“空”キャストの芝居を見て
刺激を受けた点はありますか?
刺激どころか、毎回めちゃくちゃ不安になってました(苦笑)。自分なりの演技プランを考えていても、“空”で三上を演じる廣瀬友祐さんの芝居を見ると「そういうやり方もあるのか」と新しい発見があって。意識が引っ張られないように自分なりの三上を守っていくのが大変でした。三上のキャラクターを作り上げる上で参考になりそうなところは学ばせてもらうこともありましたが…でも、とにかく稽古中はずっと焦ってました。東京の初日公演で自分が作り上げた三上や“海”キャストによる東京ラブストーリーをお披露目できて、ようやくホッとしたのが正直な気持ちです。
同じ三上を演じる廣瀬さんと役どころについて
話し合うことはありますか?
三上についての話をすることはないのですが、「このシーンは今のやり方で成立しているか?」のように作品全体を通した話をすることはありました。でも廣瀬さんの三上がすごくカッコよくて…。あまり深く踏み込んで会話をすると廣瀬さんが考える三上のシーンに影響を受けてしまいそうだったので、あくまで気持ちがブレないよう、僕にしかできない三上を出すことを意識してました。女性にモテて自信満々な一面よりも、何か秘めた感情を抱えたミステリアスな部分が見え隠れする三上が僕らしいのかなって。
三上のセリフや歌唱パートで好きなところ、
見てほしいところを教えてください。
最初のほうにある三上のソロ曲はやっぱり好きです。でも個人的には女性キャストとのデュエット曲がロマンチックでメロディーがきれいなのですごく気に入ってます。あとは物語の終盤で三上が生まれ変わったかのように成長を見せるシーンがあるので、そこも楽しみにしていただきたいです。
これからミュージカル『東京ラブストーリー』をご覧になる方へひと言お願いします。
人気作品の初ミュージカル化。1から作り上げていくことの大変さは“海”キャストのみんなも若いながらに肌で感じていたので「東京初日を無事に迎えられて本当によかった」と喜びを分かち合いました。キャスト一丸となって幕を開けた『東京ラブストーリー』は、ミュージカルらしい味が出ているので観ているだけで楽しんでいただけるはずです。ジェイソン・ハウランド氏による楽曲の数々は、劇中歌はもちろん芝居中の背景音楽がおしゃれで素敵! 僕たちも音楽の力に引っ張られてお芝居させてもらっています。しかも僕にとっては初めての生オーケストラ演奏。音合わせのときに感動でジーンときてしまうくらい、すごく贅沢な経験をさせていただいています。劇場ならではの迫力をぜひみなさんもご体感ください!
増子敦貴
ましこ あつき
朝早くの撮影にも関わらず元気いっぱいで現場入りしてくださった増子さん。差し入れでみかんがあることを伝えると「撮影終わったらいただきます!」とまぶしい笑顔を浮かべ、帰り際は宣言通りにみかんをゲット。増子さんの陶器のような美肌の秘訣が垣間見えた気がする一幕でした。
※Item Credit
ブルゾン¥22,000
JEANS FACTORY CLOTHES/JEANS FACTORY 卸団地本店(088-861-5100)
シャツ¥7,590
remer/remer store(03-6276-7644)
カットソー¥9,900
YOUNG & OLSEN The DRYGOODS STORE/GOONie PR(03-6441-2142)
パンツ¥19,800
SAIS/エヌイグレッグ(03-6826-4041)
シューズ¥16,500
New Balance/ニューバランスジャパンお客様相談室(0120-85-7120)
ソックス
スタイリスト私物
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ディレクション:半澤暁
ヘアメイク:花房みなみ
スタイリスト:小林優奈
インタビュー・記事:井上ハナエ