渡邊圭祐
映画『ほどなく、お別れです』
今の時間の過ごし方を、より有意義なものにしようと思える作品
これまでに、小説が既刊4巻のほか、コミカライズもされるなど、大きな話題を集めている「ほどなく、お別れです」が、実写映画化!本作のなかで、5歳の娘を先天性心疾患で亡くし、憔悴しきった妻を支える久保田 宏之役で出演する渡邊圭祐さんに、初の父親役を演じた心境や役作りについて伺いました。
-scaled.jpg)
ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館
<あらすじ>
就職活動で連戦連敗を重ね、自分の居場所を見つけられずにいる清水美空(浜辺美波)は、亡くなった人の声を聴くことができるという力を持っていた。それに気づいた葬祭プランナーの漆原礼二(目黒 蓮)は、「その能力を活かすべきだ」と葬祭プランナーの道へ誘う。導かれるように葬儀会社のインターンとして漆原とタッグを組むことになった美空は、彼の厳しい指導に心が折れそうになる。しかし、誰よりも真摯に故人や遺族に寄り添う漆原の姿勢に気づき、出棺の際に「ほどなく、お別れです」とやさしく告げる姿にあこがれを抱いていく。さまざまな家族の葬儀に直面するなかで、「遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは?」という問いに向き合ううちに、葬祭プランナーを志すことを決心する美空。「ほどなく、お別れです」という言葉に込められた本当の意味とは?そして、2人が届ける最期の“奇跡”とは――。

公式コメントに「脚本に胸を打たれ、読み終えるまでに3日かかった」とありましたが、一番心がギュッとなったのはどんなところですか?
最初に出てくる、古川(琴音)さんと北村(匠海)さん演じる柳沢家のお話が、感動エピソードとしての完成度が非常に高く、泣いてしまったのが一番の理由です。また、全ての話に共通している、誰しもに起こり得る「死」というものに直面した際の進み方というか、その描き方にすごく勇気をもらえて。悲しみの涙も流しつつ、ちゃんと前向きな涙も流せるというのが、この作品のいいところだと思いました。
今回、渡邊さんにとって初の父親役ということですが、役へのアプローチはどのように?
子どもがいて、しかも、その子が病気で亡くなってしまうというお話なので。母親役の志田未来さんとの関係値も含めて、三木孝浩監督から「宏之はこういう人だと思うんだよね」というのを、衣装合わせのタイミングなどに聞きながら役を作っていきました。
監督からのお話は、どのような内容だったのですか?
娘の死が近づいているということに対して、もちろん宏之は、父親としていろいろと考えることはあるけど、母として泣いたり苦しんだりしている妻を見るのもツラいんです。彼は彼で、娘の死と、それを見て苦しがる妻という二重苦に挟まれているというか。どう支えていいかわからない妻との距離感みたいなところを、たくさん説明してもらいました。ストレートに、娘が苦しんでいるから涙が出そうということにプラスして、妻の苦しみもすごく感じていて。むしろ、そっちの比重のほうがちょっと大きくて、自分が支えてあげなきゃいけない、みたいな。そこの部分を表現したいね、という話をしました。

試写を拝見した際、そういった宏之さんの思いが伝わってきました。
それに尽きるかなと。夫の立ち位置って、きっとそうなんでしょうね。一緒に悲しむことはもちろんですが、それ以上に支えなきゃいけない相手がいる。そこを描いたのが、今回のお話でもあるんですよね。
志田さんのあのお芝居を間近で見ていたら、涙をこらえるのが大変だったのではないかと。
志田さんが、本当にスゴいんです。リハーサルから泣いていらっしゃるし。一緒にお芝居をするうえで、僕自身もすごく助けていただいたと感じます。
志田さんとは、お芝居について、撮影前に話し合ったりはしたのですか?
それは、あまりなかったです。どちらかというと、今、起きていることより、これまでに2人の積み重ねてきた時間のほうが大事かなと。志田さんと僕の距離感が近くなれば、夫婦を演じるうえでの距離も自ずと近くなれる気がしたので。志田さん本人のことをよく知ろうと思って、志田さんの好きなものとかを聞いたりしました。たぶん、自分がどういうふうに役を作ってきたかを聞かれるのって、あまり明かしたくないし、恥ずかしいと思うんです。たとえば、「理恵の好きな食べ物は、これだと思う」とか。それは、自分のなかだけに持っていればいいものだから。

演じているうちに、自然と父性も生まれてくるものなのでしょうか。
生まれました。初めての感覚を味わいました。今回の作品の性質上、亡くなってはいるんですけど、元気な娘もちゃんといるんです。彼女と会話をしていると、本を読んでいるときには感じなかった悲しみが湧いてきて、グッときてしまって。変なタイミングで涙が出てきたりとか、自分でもビックリするくらい感情が溢れてしまうことがあったんです。でも、それがリアルに近いんだろうなと思いました。あと、志田さんが、比奈ちゃん(娘の役名)役の英茉ちゃんとすごく仲よくしていたんです。
実際の母子のように。
はい。たまたま同じアイドルが好きだったらしく、そういう話で盛り上がったりとか。そんな様子を見て、実際にお父さんって、こういう感情になるんだろうと思いました。夫婦2人の子どもではあるけど、やっぱり、奥さんと娘が過ごす時間のほうが圧倒的に長いわけで、距離が近いんです。それを見て嫉妬しちゃうというか、“えっ、ズルい!”みたいな(笑)。だから、全国の娘さんや息子さんは、お父さんともコミュニケーションをとってほしいなと、ちょっと思っちゃいました(笑)。
W主演を務めた浜辺さんや目黒さんの印象を教えてください。
浜辺さんとははじめましてだったのですが、すごく接しやすい方でした。フワッとした雰囲気の人なので、なんでも話せちゃうというか。控え室では、プライベートな話もよくしていました。今ハマっているせんべいの話とか(笑)。目黒くんは1度ご一緒したことがあるので、どんな人かというのはなんとなくつかんではいたんですけど。葬祭プランナーという役どころなので、演じるうえで事前に準備をしなければいけない部分が、すごく多かっただろうと思うんです。とにかく真面目で、漆原という役に真摯に向き合っている姿がステキでした。

作品の雰囲気がシリアスなだけに、そういうお話を聞くとホッとします。
そうですね。やっぱり現場の空気感も、そこまでワイワイとした感じではなくて。そんななかでも、目黒くんとはわりとコミュニケーションをとっていました。撮影をしていた建物の隣が幼稚園で、ある日、運動会が行われていたんです。撮影の合間に、その様子を見つめる目黒くんの目がすごく柔らかくて。人間性が感じられて、なんかよかったです。今、相当多忙でしょうし、ホッとできる瞬間だったのかなって。
漆原さんの「ほどなく、お別れです」というセリフは、目黒さんの声のトーンも相まって、じんわりと心に沁みてきますよね。
すごくステキでした。「どのセリフが一番ステキでしたか?」と聞かれたら、それですと答えると思います。たぶん、漆原さんの経験してきたことも、そのセリフに深みを与えているでしょうし。宏之にとっても、ようやく夫婦の足取りが揃ったときに言われる言葉でもあったので、いろいろなものが浄化されていく感じがしました。
完成したものをご覧になって、どんなことを感じましたか?
やっぱりステキな映画で。これに尽きます。それぞれの家族のエピソードを自分の人生に投影しながら、“じゃあ、こうしてみようかな”とか、生き方についてすごく考えさせられるというか。友達や家族との時間の過ごし方なども、考えさせられる作品なんだろうと思いました。

本作の公開を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
ちょうど今、この作品で描かれているような状況で、タイミング的に観るのが難しいという方も多くいらっしゃると思います。でも、そういう方にこそ観ていただきたい映画でもあるなと思っています。もちろん、そういうことに直面していない方たちにとっても、今の時間の過ごし方を、より有意義なものにしようと思える作品になっているので、とりあえずハンカチだけは握りしめて、劇場に来てください。きっと、この言葉の意味がわかると思います。

渡邊圭祐
わたなべ けいすけ
1993年11月21日生まれ。
登場と同時にスタッフに目を合わせてご挨拶をしてくださった渡邊さん。インタビューではご自身初の父親役に対しての心構えから夫婦を演じるために取り組まれたことなど新たな役どころへのアプローチなどたくさんお聞きしましたが、要所に必ず話を重くしないように笑いのオチをつけてくださり、和やかな雰囲気でインタビューに応えてくださいました。後編では、前回のご登場からアップデートした渡邊さんに同じ質問を投げかけてみました!お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、NHK大河ドラマ「光る君へ」(‘24)、テレビ東京『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』(‘25)、映画では、『女神降臨 Before/After』(‘25)、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』(‘25)などがあり、2026年3月20日公開の主演映画『2126年、海の星をさがして』、4月29日公開『SAKAMOTO DAYS』が控えている。

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館
タイトル: ほどなく、お別れです
原作: 長月天音「ほどなく、お別れです」シリーズ(小学館文庫刊)
配給: 東宝
監督: 三木孝浩
脚本監修: 岡田惠和
脚本: 本田隆朗
音楽: 亀田誠治
主題歌: 手嶌葵「アメイジング・グレイス」(ビクターエンタテインメント)
キャスト: 浜辺美波 目黒蓮
森田望智 / 古川琴音 北村匠海 志田未来 渡邊圭祐
野波麻帆 西垣匠 久保史緒里 / 原田泰造
光石研 鈴木浩介 永作博美
夏木マリ
公開日: 2026年2月6日(金)
撮影期間: 2025年2月中旬~3月下旬
コピーライト: ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:秋月庸佑
スタイリスト:岡本健太郎
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
