松尾太陽
1st Album『ものがたり』
松尾太陽の歌い手としての進化。
今回のアルバム発表に至るまでに3ヶ月連続でのシングルリリースやYouTubeでの活動など、とにかく真摯に音楽と向き合ってきた松尾さん。80・90年代という日本の音楽シーンが大きな盛り上がりを見せた時代から強く影響を受けた彼の音楽は今、どのような進化を遂げているのだろうか。YouTubeでの楽曲カバーから好きなアーティストまで、松尾さんのパーソナルな音楽情報を紐解いていきます。
超特急とソロ、それぞれの違いや繋がりは感じますか?
感じますね。特に二つの繋がりに関しては歌うという同じ行動でもかなり違ったテンションになりますし、だからこそお互いに活かせるところがあって。超特急はエンターテイメントに振り切った楽曲が多く、一曲の中で色んなキャラクターを演じて人格をそれに合わせて切り替えています。あと歌もトラックの一部だ、という感覚もあって。ソロだと歌が全面に出過ぎてしまいそうになることがあって、そんな時に“歌もトラックの一部”という感覚を思い出して、上手くバランスを取ることができています。反対にソロ活動を通して歌に感情を乗せるテクニックなどを突き詰めて考えることができて、超特急でのバラード曲の時などに取り入れたりしています。一見かなりテンションの違う超特急とソロなんですけど、意外とお互いに活かせるポイントがあって、個人的にWIN WINです(笑)。
YouTubeで有名曲のカバーをされていましたが、
ご自身の歌への影響はありましたか?
ありましたね! 名曲、話題の曲をカバーさせていただくことで直接触れることができたと言いますか、このメロディは歌いたくなるな、という発見があって。曲をより深く理解できて本当に良い勉強になりました。既存の曲に対してこういう歌い方はどうだろう、みたいな自分なりの表現方法を探していくのは楽しかったですね。
カバーで歌われる際、曲に合わせようという
イメージなんでしょうか?
それとも曲を自分の世界観で引っ張っていこうという
イメージですか?
曲に合わせようというイメージはないですね。それだと、ただのモノマネになってしまうので。大切にしているのは、僕が歌うことでこの曲はこういった形になりますよ、と提示することですね。そうやってカバーを通してより楽曲の魅力を引き上げるというのが、僕の理想なんですよ。それは自分の曲を歌う時も同じで、例えば提供していただいた曲を歌うときは、提供元のアーティストの世界観に寄り添いつつも、僕自身の世界観もバランスをとりながら出していく様にしています。
松尾さんは80年、90年代のアーティストから
影響を受けていると思いますが、
好きなアーティストはどなたですか?
サザンオールスターズさんと山下達郎さんはずっと聴いてますね。シュガー・ベイブさん、はっぴいえんどさん、ナイアガラ・トライアングルさんも大好きで。あとは80年代よりさらに前になるんですけど、忌野清志郎さんや沢田研二さんも尊敬しています。皆さん何か新しいことに初めて挑戦した人たち、0から何かを作り上げた人たちでカッコいいんですよね。僕にとっての伝説的な方々ですね。
やはり影響は受けられましたか?
そうですね。ただちょっと影響を受けすぎてしまった時もあって(笑)。カバーの時と同じなんですけど、リスペクトは一歩間違えるとモノマネになってしまうことがあるんですよね。これまで色々な曲を聞いてきて当然尊敬や憧れもあるんですけど、自分の歌っていうのは当たり前かもしれませんがリスペクトの先、自分自身の力でしか作り上げられないな、と最近は思うようになりましたね。
コロナの期間は思うように活動できない期間だったんですが、
音楽的には吸収であったりパワーアップできる期間でしたか?
去年の自粛期間は正直、何をしたらいいのか分からず、ただ時間が過ぎていってしまったんですよね。1,2ヶ月何もできなくなるという状況が初めての経験だったので。いや、もったいなかったですね。なので、2021年は突っ走ってやろうと決めていました。それが3ヶ月連続リリースだったり、今回のアルバムだったりで。僕、音楽を聞くことを音楽採取って言っているんですけど、隙間時間に音楽採取をしたりとにかく色んなアーティストさんの楽曲をギターで弾いてみたりもしています。PCを使って勉強の一環で曲を作ってみたり。そういった行動へ繋がったので、自粛の期間も全く無駄ではなかったですね。今はとにかく色んなことを勉強し続けて、より良いものを皆さんにお届けしたいと思っています。
松尾太陽
まつお たかし
1996年9月23日生まれ。
古き良き音楽への敬愛と新奇への意欲に溢れた、歌い手として進化し続ける24歳。
1stアルバム『ものがたり』
2021年9月8日(水) 発売
松本太陽初のフルアルバム。先行配信された『Magic』、『体温』、『ハルの花』に加え、気鋭のアーティストが参加した新曲も多数収録。
※Team Credit
ヘアメイク:間篠美歩
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー・記事:山根将悟