柊太朗
ドラマ『君とゆきて咲く~新選組青春録~』
できる限り丁寧に役を落とし込むことで誠意を見せたかった
フレッシュなネクストブレイク俳優たちが、幕末の時代を閃光のごとく駆け抜け、はかなく散っていった新選組の若き隊士を演じ、話題を呼んでいるドラマ『君とゆきて咲く~新選組青春録~』。隊士の一人である原田左之助を演じている柊太朗さんに、キャストオーディションの思い出から撮影中のエピソードまで、たっぷりと語ってもらいました。
©テレビ朝日
<あらすじ>
父を斬殺された深草丘十郎は、剣の腕を磨いて仇を討つべく新選組へ入隊。その入隊試験で知り合ったのが、クールな少年・鎌切大作だった。剣の腕はピカイチの大作は、期待の大型新人として新選組に迎え入れられる。アツい友情を育んでいく二人だったが、いつしか時代の波に翻弄され、互いに殺し合わなければいけない悲壮な運命へとなだれ込んでいく――。
ドラマ『君とゆきて咲く~』への出演をかけて行われたキャストオーディション。改めて振り返って、印象に残っていることは?
オーディション中は、参加メンバーが自分の思いをぶつけたり、涙を流したり、感情をそのまま表に出していたんですね。そんな姿を見ているうちに、僕も自分に対して素直になることができたのか、最終審査の際に、審査員の河合(勇人)監督や、脚本の坪田(文)さん、そして、三ツ矢(雄二)さんの前で自分の思いを話していたら、自然と涙が出てきたんです。演技についてとか、自分の思っていることを誰かに伝えるって、こんなに心が動くんだ!と。それを体感できたのは、自分の俳優人生のなかでとてもいい経験になったと思います。
自分の気持ちが溢れ出てしまった?
そうですね。僕は、何か感じることがあっても自己完結しちゃう節があるんですね。でも、それを素直に口にしてみたら、“あっ、こんな気持ちになるんだ!?”って。
その時は、どんな気持ちだったのですか?
いやぁ、複雑でしたね。最終審査のときは、ほかの人たちとほとんど点差がなくて、脱落してしまう可能性も大いにあるなかで。焦りや緊張、今までの不甲斐ない自分に対しての悔しさ、あとは、純粋に演技をしている楽しさとか。ホントにいろんな感情が混ざっていたと思います。
そんな経験を経て、原田 左之助役に決まって。
でも、もともと(松永)新之丞役と南無之介役を決めるオーディションだったので。審査結果の発表のとき、「南無之介役は羽谷勝太くんに決まりました。新之丞役は該当者なしです」と言われたときは、あっ、終わった……と思いました。そうしたら、「でも、あなたたちにもやってもらいたい役があります」といって、オファーのような形で原田左之助役をいただくことができて。ありがたいお話ですし、ホッとした部分もあったのですが、最初にオーディションがダメだったという現実を突きつけられてからのその言葉だったので、みんな動揺がスゴかったです。“えっ?今、何と言いました?” みたいな(笑)。
では、喜びはじわじわと?
そうですね。殺陣練習が始まり、役の詳細や台本をいただいて、(ドラマの撮影をする)京都へ行く準備をし始めた頃から、あぁ、時代劇に参加できるんだっていう実感が湧いてきました。オーディションでいただいた役ではないので、できる限り丁寧に役を自分に落とし込むことで誠意を見せたいと思って。撮影が始まるまでは、ずっと台本とにらめっこでした。
オーディションの様子はテレビ番組のなかでも放送され、SNSでは温かいリプライもありましたね。
ホントにうれしかったですね。オーディション中に復活投票があったのですが、「こっち(投票)は私たちにまかせてください!柊太朗くんが勝ち進んでいることを願っているし、信じてます!」みたいなリプライをいただいて。あー、あったかいなぁ、いいファンの方たちと出会えたんだなーって、しみじみと感じました。
大きな励みになりますよね。
オーディションの様子とかって、ファンの方たちはあまり見る機会がないじゃないですか。一つの目標に向かってがんばっている姿というのは、やっぱりいつもの僕とは違うのかなと思うので。見られるのが恥ずかしい気持ちもありましたけど、みなさんが応援してくださるのを直に感じることができたのはうれしかったし。最終的にみなさんの期待に応えることができたので、よかったなと思います。
最初に脚本を読んだときの感想は?
時代劇ということで身構えていたのですが、新選組が題材になっていることもあり、時代劇独特の言い回しとかも少ないですし。登場人物一人ひとりのキャラが立っていて、ワクワクしました。
ご自身の役については、どう思いましたか?
鎌切大作(前田 拳太郎)と深草 丘十郎(奥 智哉)のようにペアになっているキャラクターが多いなか、僕たち2年生組はペアではなく……まぁ、僕も斎藤 一(庄司浩平)といることも多いですが、沖田総司(藤岡真威人)と3人のシーンが多かったりするので。そこは、僕たちだけちょっと違う空間というか。1年生とは違う、2年生らしい仲のよさや絆をどう表現しようかなっていうのは、台本を読みながら思いました。
©テレビ朝日
原田 左之助という役へは、どのようにアプローチしていったのですか?
新選組ファンのなかで、左之助は比較的、キャラクター像が出来上がっていると思うので、そこは崩さずに。でもやっぱり、いろんな形で描かれてきた左之助を変えたいという思いもあったので。“おバカだけど頼れるし、1年生からも相談されやすい”みたいに、朗らかさとアホっぽさを混ぜられたらいいなと。ただ、僕は“わー!”って盛り上げる明るいキャラでもないし、そんなにハキハキしゃべることがなかったんですよ。自分の人生のなかで。
あっ、役のうえでではなく、人生で!?
そうなんです(笑)。なので、最初は大丈夫かなって不安でした。でも、ほかにも寡黙だったり、不思議なキャラだったりする登場人物もいるし、先輩方もたくさんいる環境なので。今は、振り切ってできていると思います。
クランクイン前に殺陣の練習もありましたが、実際にやってみていかがでしたか?
最初は受け身だったりとか、剣を前・後ろ・横に振るとか、基礎的な部分を教えていただいたのですが、マット運動がベースになっているので、体育の授業を受けているような感覚でした(笑)。その後、殺陣の練習に入ったのですが、左之助は槍を扱うキャラクターなので、みんなとは別メニューなんですよ。「槍だから、こっち来んな!」みたいなイジりも受けつつ(笑)、稽古自体は和気あいあいとした雰囲気のなかでやれていたと思います。槍にはそういう孤独な部分もあるんですけど(笑)、逆に長物を一人だけ使うということで、とても貴重な役割なので、バシッとキメたいと思っていました。
槍を扱う難しさは、どこに感じますか?
やっぱり、間合いが難しいですね。最初、みんなと一緒に剣の稽古をしてから槍の稽古に入ったのですが、リーチがまったく違うので、“こうだと(相手に)当たらないよな”とか、距離感を把握するのが難しかったです。あと、槍は剣にない動きがすごく多いんですよ。回したりとか。回転しながら斬るときも、自分も回転しながら槍を回転させたりとか。キメ方も違うし。そもそも2年生は、剣の達人と言われるキャラクターが集まっているので。余裕を感じさせる剣捌きというのが難しいです。
殺陣に関して、“先生からアドバイスをもらって、こんなに上達した”ということはありますか?
殺陣の練習では、組みを教わることが多くて。アクションの流れだったり、剣のさばき方や当て方、体の使い方とかは教えてもらっていたのですが、所作の部分は教わっていなくて。例えば、正眼の構えという基本の構えがあるのですが、「突くときは、こういう形で手を動かしますよ」みたいな基礎的な部分は、現場に入ってから所作指導の先生に教わったんです。そうやって教わったことをちゃんとやると、すごくキレイに動けるし、槍もブレないんですよね。それまで、いかに間違ったやり方をしていたかがわかりました。やっぱり、基礎は大事ですよね。
殺陣は体幹が大事なのでしょうか。
うーん、体幹というよりは、手の使い方ですね。槍は長さがあるので、重心が変わりやすいんですよ。その槍のさばき方が、一番難しかったです。所作指導の先生に、槍を持ちながら手を入れ替えるという練習方法を教わってから、一人でも練習しやすくなりました。
東映京都撮影所での撮影は、いかがですか?
東京の東映撮影所には何度か行かせてもらったことがあるのですが、外見はすごく似ているんですよね。白くて四角い建物が並んでいたりとか。でも、やっぱり中に入ってみると、小道具が全然違ったりしますし。外に置いてある端材とかも、歴史を感じるものがすごく多くてテンションが上がりました。撮影が始まってからも、“あっ、こういう茶屋があるんだ!”とか“こんな城下町もあるんだ!”とか、刺激だらけで。今日はどういうロケをするんだろう?って、毎日楽しみです。
現場スタッフの方々は、どんな印象ですか?
みなさん、職人だなと思います。撮影中は、自分のお仕事一つひとつにプライドを持ってやっているのが伝わってきますし。カメラマンさんと監督さんで、「ここはこうしたほうがいいですかね」「こっちのほうがいいんじゃないですか」と話し合っている光景をよく見たりするので。そのたびに、とても恵まれた環境で撮影に臨めていて、ありがたいなと思います。
撮影は、どんな雰囲気のなかで進んでいますか?
キャストは男子しかいないので、ホントに部活みたいな雰囲気で。みんなで一つのものに向かって切磋琢磨している感じは、すごくいい環境だなと思います……けど、何かエピソードはあるかな?撮影が始まったのが春先だったので、やっぱり寒かったという印象が強いですね。とにかく床が冷たくて!あと、左之助の衣装って胸元が空いているので、インナーを着られなくて、寒いんですよ。僕だけ袖もないので、みんなから「袖なし」と呼ばれています(笑)。
それは、キャストのみなさんから?
はい。助監督さんとも、「寒いよね」「そりゃ、寒いですよ!」みたいなやり取りをしながら(笑)。でも!ほかの人たちは正座をしているシーンが多いのですが、左之助はあぐらとかラクな体勢が多いので。このときとばかり、「大変ですね~」と煽り返しています(笑)。
7月からは新章に入りますが、本作を楽しみにご覧になっている方へメッセージをお願いします!
『新選組』という手塚治虫さんの原作はありますが、ドラマは現代風でキャッチーな、青春を感じさせる時代劇になっているので、若い方も見やすいと思います。これから、ガーッと物語が展開していきます。史実や原作とくらべながらとか、いろんな楽しみ方のできる作品だと思いますので、ぜひ今後も観ていただけたらうれしいです!
柊太朗
とうたろう
2000年10月27日生まれ。
ドラマの撮影終わりに撮影とインタビューのお時間をいただきましたが、終始すごく楽しそうに取材を受けてくださった柊太朗さん。撮影では衣装を自由自在に使ってとても動きのある写真をたくさん撮らせていただきました。またドラマで殺陣や筋トレをされているとのことで、以前は可愛らしい表情だったのがモニター越しからでも伝わる男らしさやたくましさが溢れ出ていました。ポージングもスマートで自発的に色々なポーズを取っていただきとてもいい写真を撮らせていただきました!
最近の出演作に、関西テレビ『極限夫婦』(‘24)、テレビ朝日『あざとくて何が悪いの?あざと連ドラ第9弾』(‘23)『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(‘22)、今回の『君とゆきて咲く~新選組青春録~』などがある。
©️テレビ朝日
【作品情報】
『君とゆきて咲く~新選組青春録~』
テレビ朝日系にて毎週水曜深夜0:15~0:45 ※一部地域を除く
出演:前田拳太郎 奥智哉 杢代和人 羽谷勝太 柊太朗 庄司浩平 ・ 藤岡真威人 阪本奨悟 永田崇人 三浦涼介 高野洸
原作:手塚治虫
脚本:坪田文
監督:河合勇人、上堀内佳寿也、柏木宏紀 ほか
※Item Credit
アウター¥42,900/tieorNOT(HEMT PR)
シャツ¥89,100/GREI.(JETTON SHOWROOM)
パンツ¥30,800/NEPHOLOGIST(NEPHOLOGIST)
バングル¥15,950/NARRATIVE PLATOON(ROLE)
リング¥33,000/Pluie(HEMT PR)
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:新地琢磨
スタイリスト:伊藤良輔
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿