山下幸輝×濱尾ノリタカ
映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
自分と重なるところがあるから、兎耳山の気持ちを理解しながら演れた
ひとりぼっちだった主人公・桜 遥が、仲間との絆を得て力強く成長していく姿を描いた大ヒットマンガ『WIND BREAKER』が、ついに実写映画化!桜と共に闘う「防風鈴」と敵対するチーム「獅子頭連」のメンバー・兎耳山 丁子を演じる山下幸輝さんと、十亀 条を演じる濱尾ノリタカさんに、役作りで心がけたことや、撮影の思い出などをアツく語っていただきました。

©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会
<あらすじ>
ケンカだけが取り柄の孤独な高校生・桜 遥(水上恒司)は、不良の巣窟と恐れられる風鈴高校のてっぺんをとるため、街の外からやってきた。そこで桜は、風鈴高校の生徒たちが<防風鈴=ウィンドブレイカー>と呼ばれ、街を守る存在へと変貌を遂げていることを知る。桜は、戸惑いながらも防風鈴のメンバーとして、楡井秋彦(木戸大聖)、蘇枋隼飛(綱 啓永)、杉下 京太郎(JUNON)ら仲間と共に、街を守るための闘いに身を投じていく。そんななか、越えてはいけない一線を越えたことをきっかけに、力の絶対信仰を掲げる最凶集団<獅子頭連>が、防風鈴を新たな標的として動き出していた。「俺は1人でてっぺんをとる」と言い放ち、周囲と衝突してばかりの桜だったが、あるとき、街に乗り込んできた獅子頭連に楡井が傷つけられてしまい……。

©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会
最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
濱尾ノリタカ(以下、濱尾):もともと知っている作品ではあったのですが、原作を読んだことがなかったので、最初にマンガを全部読みました。そのうえで脚本を読んだときの印象は、兎耳山と十亀のエピソードをすごく丁寧に描いていただいているなと思いました。映画化するにあたり、物語をキュッと2時間にまとめる必要がありますが、そのなかでも2人のことを丁寧に描いてくれているということは、映画もそれだけ重要なシーンとして見てくれている……もちろん全シーン重要ですが、特にお話の核となる場所なのだろうから、そこに向けて、十亀としてしっかりとお芝居できるようにしなければと思いました。大事な役を任されたという責任感も生まれました。
山下幸輝(以下、山下):僕もまったく同じことを思ったんですけど……。
濱尾:そうだよね!俺、今、話しながら、2人共通していることを言っちゃったなと思って。
山下:いやいや、大丈夫!脚本を読んだときは、本当におもしろいと思いましたし。映画という限られた時間のなかで、兎耳山と亀ちゃん(十亀)のことをしっかりと描いてくれているので、責任を持ってやりたいと思いました。
原作のある作品ですが、役へのアプローチはどのように?
山下:まず、何回もブリーチしました。髪の毛がちぎれるくらいまで。
濱尾:スゴい色だったよね。
山下:そう。薄ピンク色って、すぐに色落ちしちゃうんです。今回、全編沖縄での撮影だったのですが、沖縄で撮影して、東京に帰ってきてリタッチして~ということがめっちゃ続いたので、髪の毛のケアを大事にしていました(笑)。あとは、兎耳山の並じゃない動きは、このままじゃできないなと思ったので、もともとやってはいましたけど、あらためて体幹を鍛えたり、カラダをつくる作業をしました。

具体的に、どのようなことをされたのですか?
山下:まず、筋トレをしました。特にプランクかな、体幹トレーニングをずっとやっていました。兎耳山は、脚を上げるアクションもけっこうあって。ちゃんとストレッチをしてからやっていたのですが、撮影中は常にカラダのどこかが痛い、みたいな状態でしたけど、よくできたと思います。
濱尾:ワイヤーアクションも多いし、一番動いていたんです。アニメ版を観て“これ、できるのか!?”と思ってしまうような動きも、本当に見事に再現していて。普段からダンスもしているのもあってなのか、下半身がしっかりしていて、重心を低く保つことができるし。もともと体幹があるのに、さらに強化しているから、ホントにスゴかったです。
濱尾さんご自身は、どのように役作りを?
濱尾:もともと僕はカラダが大きいので、十亀とのサイズ感はマッチしていると思うんですけど。カラダが大きく見えるのって、顔の大きさとの比率もあると思うんです。顔が小さければ、さらに大きく見えるだろうし。それに、十亀は顔がこけていることもあり、筋量は残してむくみだけをとろうと、体重を5、6キロ落として撮影に臨みました。十亀は下駄を履いているのですが、履き慣れていないと余計なところに気をとられてしまう。だから芝居だけに集中できるように、クランクインする前からずっと下駄を履いて慣らしたりもしていました。
山下:そうだったよね。
濱尾:それと、ケンカをするとか人を殴るとかって、僕らの人生ではないことじゃないですか。でも、それが日常的に行われている世界に生きるには、その感覚を知っていないとダメだから。格闘技ジムに通って、それが日常になっているような心にするとか。そういう感覚を知っている人間かどうかで変わってくると思うので、そこはすごく大事にしました。あとは、僕も下重心が必要なアクションが多かったので、格闘技ジムでレスリングの基礎練を教えてもらったり。そういった準備をしました。

実際に演じてみて、キャラクターに対してどんなことを感じましたか?
濱尾:最初に、十亀はいろいろなものを手放すことがすごく苦手な人間だというのをテーマとして置いていたのですが、撮影が終わった後も、それをしみじみと思ったりします。僕も、手放すことが苦手で。それって、強さでもあるけど弱さでもある。十亀は弱さのほうで出ていたんだけど、“手放したくない”だけじゃなく、手放すためにはどう向き合うか、ということに気づいていく物語でもあると思うんです。手放すのって、なにをするにも大事なことですが、僕自身も十亀と一緒にそれに気づけた。おかげで、自分が少し変われたように思います。
具体的に、どんな変化が?
濱尾:人を頼れるようになりました。というか、ちょうどその過程だったんですけど。今回の撮影は2025年の頭から行われたのですが、2024年から2025年にかけて過ごした時間は、僕にとってすごく大きかったんです。公私共にいろいろと大きな変化があって。そのなかで、人に相談をしたり、自分自身に相談をするやり方を覚えた。それまでは、とにかく孤独にストイックにやるのがいいと……まぁ、今も少し思っていますし、それが必要なときもあるんですけど。それを支える基盤として、頼ることで生まれる安心感とか、そういうものがないと強く立てないんだなと、十亀を演じてみて身に染みたんです。

山下さんは、兎耳山に対してどんなことを感じましたか?
山下:兎耳山が、獅子頭連でてっぺんをとってから、なんだかわからないけど足りないというか、楽しくない、自由じゃないと感じている。それは自分のせいなのに、他人や周りのせいにしてしまう。それで、どんどん孤独になっていくんですけど。わからないけど何か足りないな、孤独だな、と感じているところは、ちょっと自分と重なるところがあるんです。“言いたいのに言えない”みたいなところとか。だから、兎耳山の気持ちはすごく理解しながら演じられたし。撮影現場でも、なるべく1人でいようと、ちょっと意識していました。
濱尾:そこは、僕も兎耳山とのお芝居のなかですごく気をつけていたところです。もちろん、山下くんとの仲を深めたい気持ちはあるので、ちょこちょこ話してはいましたけど、彼が1人でいたいんだろうな、と感じるときは距離をとって。そこは、兎耳山と十亀の関係性と同じでした。どちらかが一方的に見つめることが多かった2人が、後半、見つめ合うシーンがあって。そのときに、すごく気持ちがラクになったんです。そういう意味でも、人に頼ることの大切さを教えてもらったと思います。
公式YouTubeのキャストインタビューなどを拝見すると、「アドリブが多かった」というコメントもありますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
山下:僕、撮影では動き回りたいとめちゃくちゃ思っていたんです。亀ちゃんや梅ちゃん(梅宮 一/上杉柊平)との“静と動”の違いをちゃんと見せたいということもあって。ドライのときにお芝居を作っていく段階で、監督に「動いていいですか?」と聞いたら、「もう、いっぱい動いて!」と言ってもらえたので。台本にはなかったのですが、防風鈴に「たのもー!」と乗り込むときに飛び跳ねてみたりとか。のびのびとお芝居をさせていただきました。
濱尾:相手とのやり取りのなかで心が動いたときは、自然と決まったものではないお芝居になるので。そういう意味でのアドリブはあったのかもしれませんが、意図的に“これをこうしよう”みたいなアドリブはしていないと思います。ただ、鹿沼(稔)役の萩原 護くんと有馬(雪成)役の髙橋里恩くんがもう好き放題やってくれたので、それが楽しくて。
山下:楽しかったですねー!
濱尾:こちらも、それに影響を受けるわけで。“マジかよ!?”みたいなことを2人がすると、十亀でいても、おもしろいものはおもしろいんです。そういうときは、役柄の範囲内でそれが活きるようにして。そうすると、受けのアドリブというか、アドリブによって変わっていく……“生感”のようなものが出るんです。獅子頭連は、そういうことができるチームだったと思います。もちろん、防風鈴側ともそういうシーンはありましたけど。

完成した作品を観て、「あのシーンがこんなふうになったんだ!?」などとビックリした場面はありましたか?
山下:獅子頭連がやってくると、風がめっちゃ吹くんです。だから、風がスゴくて声がよく聞こえないところがあって、そこはアフレコで入れたんです。僕はアフレコをあまりやったことがなかったので、“あっ、こういう感じに(声が画に)のるんだ!?”ってビックリしました。
濱尾:桜と僕たちが最初に対面するシーンは、現場でカットを割っていくなかで、水上と監督との話し合いがあり、「ここは長回しでいけるんじゃないですか?」ということになって。調整しながらやっていったんですけど、そんななかでもアドリブを仕掛けるんですよ、萩原くんと里恩くんは(笑)。特に里恩くんですね。
山下:あははは!
濱尾:でも、“マジかよ!?”となりながらも、お芝居が止まることなく続いていって、結果的に一発長回しで撮ったんです。完成したものを観て、“わっ、こうなったんだ!”って。すごくいいシーンになったなーと思いました。

イベント前に取材のタイミングを頂きましたが、既に盛り上がりが最高潮になっていた、山下さんと濱尾さん。インタビューもすごい熱量のある話しっぷりに終始圧倒されっぱなしのスタッフ。撮影中のお話しでもお互いを認め合い、お互いの考えていることを察して、支えあって『獅子頭連』を引っ張ってこられていたのだなと実感しました。お二人ともありのままが、すごく役に近い人柄だなと要所で感じる瞬間があり、言葉数はそこまで多くないけれど、ストイックに足りていないことを常に考えられている山下さん。周り俯瞰してみていて、本当に痒い所に手が届くような言葉をかけてくださる濱尾さんのお二人でした。後編では、役を演じるにあたって取り組んだことなどより深堀をしています。お楽しみに!
山下幸輝
やました こうき
2001年11月7日生まれ。
最近の出演作に、MBS・TBS『プロパガンダゲーム』(‘25)、WOWOW『ストロボ・エッジ』(‘25)、ABC・テレビ朝日『すべての恋が終わるとしても』(‘25)、TBS『御上先生』(‘25)、映画では、『見える子ちゃん』(‘25)、『【推しの子】-The Final Act-』(‘24)、がある。
濱尾ノリタカ
はまお のりたか
1999年11月26日生まれ。
最近の出演作に、『明日はもっと、いい日になる』(‘25)、NHK総合『連続テレビ小説 「あんぱん」 』 (‘25)、NHK総合『大河ドラマ 「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 』(‘25)、『明日はもっと、いい日になる』(‘25)、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(‘25)などがある。
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©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会
タイトル:『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
絶賛公開中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)表記:(C)にいさとる/講談社 (C)2025「WIND BREAKER」製作委員会
濱尾さん衣装クレジット
・セットアップ
価格(税込) \109,000
ブランド名 和文:グログラン
ブランド名 欧文:GROSGRAIN
問い合わせ先 grosgrain.official@gmail.com
・シャツ
価格(税込) \39,600
ブランド名 和文:ハトラ
ブランド名 欧文:HATRA
問い合わせ先 mail@hatroid.com
※Team Credit
山下さん
スタイリスト:山田莉樹
ヘアメイク:寺澤はるか
濱尾さん
スタイリスト:コダン
ヘアメイク:HIRO
カメラマン:遥南碧
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿
