YU
(I Don’t Like Mondays.)
「自分が感動できる曲を作る」
進化を止めないIDLMs.が生み出した
ラブストーリー「東京エキストラ」
―I Don’t Like Mondays.-
今、芸能人の間で人気の4人組ロックバンド。キャッチーなメロディライン、そこにセクシーなサウンドと、英語を巧みに織り交ぜたニヒルな歌詞が組み合わさった彼らの楽曲は海外の雰囲気を感じさせる。
全楽曲において彼らが作詞・作曲・アレンジを手掛け、ジャケット、MUSIC VIDEOも自らディレクションをすることで、多方面からオファーが増えている。アパレルブランドのサウンドトラックを手掛けるほか、ハイブランドショップとのコラボ、日本を代表するアーティストへの楽曲提供、MUSIC VIDEOの企業コラボなど、彼らの活動が音楽シーン以外でも認められてきている。2019年度に開催された全国ツアーでは東京・豊洲PITを含む全国14都市8,000人を動員し、全公演SOLD OUT。多くの美男美女を踊らせた。
Music:11月25日リリース『東京エキストラ』
『東京エキストラ』は5ヶ月連続新曲リリースの5曲の中で唯一の恋愛曲であり、今までのアイドラの恋愛曲とは少し違う雰囲気の曲。今回のコロナ禍で僕自身マインドの変化があって曲作りの仕方が変わったんです。今まではサウンドを作った後に歌詞を乗せて、曲のイメージを壊さないように、むしろ曲の世界観が広がるようにサウンド重視で曲作りをやっていたんですよ。どちらかと言うと「ライブで聴かせたい」と思う楽曲を作っていたというか。それが今回のコロナの影響でライブが出来なくなってしまって…。自粛を強いられ、それぞれ自分自身と向き合う時間が増える中で「寄り添える音楽って何だろう?」と考えた時に“言葉”を大切にするべきなんじゃないかと思ったんです。“言葉”は音楽にとって、特にポップソングにおいては切り離すことができないほど大切な要素。“言葉”を伝えるためには英語でサラッと歌うよりも日本語で歌ったほうが心に残るんじゃないかな、と思って。そこでマインドセットを変えて、心のより深い部分の心情を歌うことを意識して今回の5曲を作りました。中でも『東京エキストラ』は最後に出来た曲。マインドが変わった今、自分が恋愛の曲を書いたらどんな曲が出来るのか見てみたいと思ったんですよね。リリースが11月だったこともあり「冬っぽい曲を」という話はしていたんですが、実はこんなにクリスマスを感じる曲にするつもりはなくて(笑)。作曲の細かい詰めは他のメンバーに任せていて、いざあがってきた曲を聴いてみたらすごいクリスマスソングになっていたんですよ(笑)。そこで初めて「クリスマスをテーマにしてもいいかも」と思って書き上げました。僕らにしか歌えない切り口で書くことが出来たので満足しています。
クリスマスのラブソングと言えば
Happyなイメージがあるのですが
どうして切ない曲だったんですか?
「クリスマス!ハッピー!」という曲は絶対に書きたくなくて(笑)。そう考えていた時に「クリスマスが嫌いって人、意外といるよな」と思ったんです。それってきっと好きな人と一緒にいられないからだと思うんですよね。好きな人と一緒にいられたら幸せだし、嫌いにはならないはず。30代の今だからこそ「“複雑な環境にいる女性と、その女性のことを好きな僕”というテーマの曲が歌えるんじゃないか」と思ってこういった世界観の曲にしました。20代じゃ歌えないだろ、と(笑)。
若いほどクリスマスは楽しそうですよね(笑)。
20代って「失恋なら失恋、ハッピーならハッピー!」みたいに分かりやすいじゃないですか。でも恋愛って歳を老いていけばいくほどシチュエーションも複雑化してくると思うんですよね。今回の『東京エキストラ』は複雑なシチュエーションをポップに描きつつも、しっかりと作りこんだストーリー展開が出来たんじゃないかと思います。タイトルの『東京エキストラ』の「エキストラ」もポイントで「僕の人生は僕が主人公だけど他のみんなは別々の人生を歩んでいる。見ているものも感じているものもそれぞれ違う。」ということを曲で表したかったんです。「僕はあなたのストーリーの中ではエキストラかもしれないけれど想っているんだよ」という気持ちを込めて書きました。
IDLMs.の曲の作詞を担っているYUさんですが、
作詞のインスピレーションは実体験だけでなく、
作品などからも受けたりするんですか?
めちゃくちゃ受けます。昔は実体験で書いていたこともあるんですが経験だけだと限界もありますしね。思いつかないときには映画を観たり、どこかへ出かけたりします。
歌詞を書くときは自分が主人公になりきるんですか?
それとも俯瞰的に?
設定は俯瞰で作り始めて、「その状況だったら自分はどうするかな」と感情移入させるタイプですね。そういった意味では作詞をしている時に「伝えたい」といった想いは意識していないのかも。割とお客さんやリスナーの方のことを気にせずに「自分の想い」で書くようにしている気がします。例えば恋愛ドラマでも主人公に感情移入するからこそ、主人公が誰かに「好き」と言うことに感動するわけじゃないですか。その主人公の行為って別に視聴者のことを考えているわけではないと思うんですよ。僕も最近は歌詞を書く時に「これを聴いたら聴く人はどんな風に思うのか」は気にしなくなりました。
曲作りの変化とともに大きく変わったんですね。
今回5ヶ月連続新曲リリースをすることになった
背景を教えてください。
本来であれば7月にアルバムをリリースして9月からツアーの予定だったんですが、この状況下でそれが難しくなってしまって。だからと言って「じっとしてもいられないな」と思ったのが始まりです。世の中も大変な時期でアーティストとしても大変だったんですが、毎月曲を出していたら少しでも皆さんにワクワクしてもらえるんじゃないかと思って。ただ、5ヶ月と言っちゃったものの3ヶ月にすれば良かった…と思うくらい大変でした(笑)。
連続リリースを決めてから5曲を作り始められたんですか?
きっと「アルバムを出す予定だったんだからアルバムに入れる曲を出すんだろう」と思う方もいらっしゃると思うんですが、作っていたものをリリースするのはプライド的に許せなくて連続リリースを決めてから曲を作りました。もちろん元になるメロディーは昔からあったんですけど、そこに歌詞を入れてレコーディングをして…という作業は連続リリースを決めた後にやり始めたもの。ただ、『MR.CLEVER』という曲に関してはアルバムに入れる入れない関わらず「2020年の僕らを表す曲」だったので配信させてもらいました。とにかくプロモーションをし続けることが大変でしたね(笑)。
今までも数多くの曲を生み出してこられたIDLMs.ですが
生み出した曲はやはり子供のような存在?
ベースのKENJIは「子供みたいな存在」というんですけど僕はそんなに甘くないです(笑)。言葉にするとしたら…「過去」ですね。もちろん過去の作品は好きだし、たまに聴いて「あーこんなこと書いたわ。結構いい曲だな」と思うことはあるんですけど、割と冷めていて「ふーん」って感じ(笑)。常に次の作品のことを考えるようにしています。次の作品はもっといいものを書きたいな、と。「カッコいい」「カッコよくない」は別として新曲が一番のクオリティでありたいとは常に思っていますね。
そんな想いで作られていたら
ファンの方は次の曲が楽しみでしょうがないですね。
そんなYUさんがアーティストとして
譲れないものはありますか?
譲れないものか~…。何だろうな。30代になって譲れないものがなくなった気がします。20代まではカッコよく見られたかったんですけど30代になってから「カッコつけてる自分ダセえ」と思うようになったんですよね。今までは大人っぽく見られたかったのが、実際に自分が大人の年齢になったことで「子供っぽいほうがいいんじゃないか」と思うようになったのかも。そう思うと今はカッコいい音楽に興味がなくなっちゃったんですよね(笑)。「カッコいい」音楽よりも自分が「感動」できる音楽が作りたい。別に聴いている人に感動してもらえなくてもいいんです。「僕と似たような感性を持っている人だったら感動してくれる人もいるかもしれないな」くらいのシンプルな考え方になりました。
いろんなものが削ぎ落されていったんですね。
では最後にYUさんが個人的に今後やってみたいことを
教えてください。
巨大なオブジェを作りたい!ツルツルとした素材の(笑)。それが個人的に一番やりたいことです(笑)。
YU(I Don’t Like Mondays.)
I Don’t Like Mondays.のボーカル。
全クリエイティブのディレクションを行い、作詞まで自らが手掛ける。
ファッションや企業広告での活躍も増えており、最近は音楽のみならず、実業家として活動するなど多彩な顔を持つ。