豊田裕大
「今年は○○の秋にしたい」
今年はドラマに映画と俳優業での活躍のほか、「メンズノンノ」7月号で初の表紙を飾った豊田裕大さん。インタビュー後編では、ご自身の「執着」の手放し方や、事務所の先輩・松坂桃李さんと中村倫也さんとの共演で知ったそれぞれの一面、さらに今年の秋にしたいことやおすすめの本、いつか実写化したら演じてみたい役についてもお話しいただきました!

出演している映画「火喰鳥を、喰う」ではいろいろな立場の人がいましたが、一番共感したキャラクターはどの人ですか。
どの登場人物も、共感するところがあります。宮館さんが演じた北斗のように、ものすごく執着して「変えてやろう」っていう気持ちも、それに負けたくない雄司の気持ちも分かるし、そういうのを俯瞰して見ていたいという気持ちも分かるので、それぞれにある、という感じです。
先ほど「執着したくない」と仰っていましたが、これまでに「執着してでも欲しい、手に入れたい」と思った経験はありますか?
「執着したくない」と言いながらも、そういうものばっかりかもしれないです。最近で言うと、やっぱり「食」です。食べたいものばかりあって(苦笑)そこには執着してしまっているかもしれません。あとは、気になっていた小説が映画化されるというニュースを聞くと「やっぱりそうか」と思います。でも、仕事も生きていく上でも自分の力じゃどうにもできないところもあると思うので、「また次があるよな」と気持ちを切り替えて、その執着を手放すようにしています。

前回「FAST」にご登場いただ時は「御上先生」で松坂桃李さんと、7月期のドラマ「DOPE麻薬取締部特捜課」では中村倫也さんと、事務所の先輩との共演が続きましたが、お芝居以外にも、松坂さんとは「家庭科部第2弾」でおにぎりを一緒に作ったり、中村さんとは「TopCoat Land」期間限定コンテンツなどの企画でもご一緒されたりしています。お芝居以外の現場でご一緒すると、役者とはまた違う一面が見えたことはありましたか?
本当にお二人とも全く違うんです。松坂さんはどこでも常に自然体で、倫也さんは全部が計算のうち、みたいな感じに見えるので、正反対なお二人を見ていると、自分に合ったスタイルがあった方がいいんだと思いました。倫也さんは、ドラマ撮影の現場よりも、企画でご一緒した時の方がより優しいんです。それに、めっちゃ負けず嫌いな一面も見れたので、役者とそれ以外の場をちゃんと使い分けている感じがしてすごいと思いました。松坂さんは、逆に一貫しているというか、現場でも家庭科部でも、ずっと同じトーンが続いている感じがします。
ご自身はどちらのタイプだと思いますか?
自分のキャパが増えていけば、倫也さんのように周りのことも気にかけられるようになったり、松坂さんのように常にフラットにいられたりするんだろうなと思うので、どっちに成長するかはまだ自分でも分からないですが、より自分が自然体でできるようになりたいです。

今年もお忙しかったかと思いますが、何か夏らしい思い出はできましたか?
映画のイベントで浴衣を着たのですが、それがこの夏の思い出になりました。浴衣ってモデルのお仕事でもプライベートでもなかなか着る機会がないので、特別感があって、嬉しかったです。今回着てみたら、ゆるさはあるんですけど、ちゃんと守られている感があるというか。僕が着た浴衣は、もともとは白地で、そこに輪ゴムでくくったり縛ったりして染めることで、生地に絞り模様を出していると聞いて、手作業でとても時間がかかっているものなんだと知りました。そういう手作業でしか生み出せないものの素晴らしさは、やっぱり浴衣ならではだと思いました。
さて、映画が公開される頃はそろそろ秋になりますが、今年はどんな「秋」にしたいですか?
うわー!何だろう(と考えること数秒)。でも、「読書の秋」ですかね。たくさん本を読んでいる方からしたらそんなに多く読んでいないのですが、いろいろな本を読みたいと思います。最近読んだのは『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』 という本や、物語系など割とジャンルは幅広く、気になった本を読んでいます。

哲学系の本を読んでみようと思ったきっかけは何かあったのですか?
ネットか何かで見つけて、面白そうと思って手に取りました。仏教ってあまり触れたことがないけど、それは入門編みたいな話で、いろんな職を転々として、結局ダメになっちゃって仏教にたどり着いた男の人の話で、すごい面白いと思いながら読みました。
ほかにもおすすめの作品があればぜひ教えてください!
最近読んで面白かったのは、江國香織さんの『きらきらひかる』や、Audible でのんさんが朗読していた、湊かなえさんの『未来』もすごく面白かったです。『未来』は辛いお話だけど、心がすごく揺れ動いた一作でした。

個人的に、豊田さんにはがっつりとしたミステリー作品も合っていると思っているのですが、もしいつか実写化されたら出てみたいと思う作品はありますか?
ミステリーではないのですが、町田そのこさんの『ぎょらん』に出てくる、大学を中退して、10年以上引きこもりを続けていたニートの朱鷺という男性を演じてみたいなと思っています。登場人物みんな、社会や実生活をすごく頑張っているんだけど、ほとんどが義務で動いているような気がしていて、「みんなが社会で働くから働く」みたいな感じがするんです。いろいろな家庭環境やそれぞれ自分の気持ちがあるから、それは別に間違いじゃないけど、そのことに対して文句を言ったり「嫌だな」って思いながら仕事に行ったりする気持ちが僕にはあまりよく分からなくて。もちろん、絶対にそこで働かなくちゃいけない理由がある人も大勢いると思うし、全員の気持ちが分かるわけではないけど、先ほどお話しした執着についても、僕はあまり後悔したくないし、できるところまでやりたいという気持ちがあるので、いろいろなことに挫けて、そういう状況になってしまった朱鷺というキャラクターに興味があります。嘘がなく、素直なところが魅力的だなと思ったので、もしいつかその機会があったら、演じてみたいです。

豊田裕大
とよだ ゆうだい
1999年4月10日生まれ。
撮影では大きく大胆に動かれる豊田さん。吸い込まれるような瞳と抜群のスタイルで、素敵にかっこよく撮影をさせていただきました。カメラマンも豊田さんも終盤ではノリノリで撮影をしていて、すごく躍動感のある写真を撮ることができました。これからも空いた時間があれば、自分の探究心に素直に向き合って、突き進む豊田さんのご活躍を応援しております。約半年ぶりのご出演ありがとうございました。
最近の出演作に、テレビドラマでは、TBS『DOPE 麻薬取締部特捜課』(‘25)、TBS日曜劇場『御上先生』(‘25)、フジテレビ『コスメティック・プレイラバー』(‘24)、フジテレビ『高額当選しちゃいました』(‘24)、映画では、『法廷遊戯』(‘23)、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(‘23)などがあり、2026年1月期にはドラマ『コスメティック・プレイラバー Season2』の放送が控えている。

©2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会
タイトル:『火喰鳥を、喰う』
公開表記:10月3日(金)公開
キャスト:水上恒司 山下美月
森田望智 吉澤健 カトウシンスケ 豊田裕大
佐伯日菜子 足立正生 小野塚勇人/麻生祐未
宮舘涼太(Snow Man)
監督:本木克英
原作:原浩「火喰鳥を喰う」(角川ホラー文庫/KADOKAWA刊)
脚本;林民夫
音楽:富貴晴美
主題詩歌マカロニえんぴつ「化け物」
配給:KADOKAWA GAGA
©2025「火喰鳥を、喰う」製作委員会
※Item Credit
・ジャケット〈ADDIXY/https://www.addixy.com〉
・パンツ〈THE JEAN PIERRE / ADONUST 03-5456-5821〉
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
インタビュー:根津香菜子
記事:根津香菜子/有松駿
