日穏
映画『死神バーバー』
サクマとしての僕も新しい姿として見てもらえたら
死を迎えた人たちとの出会いと別れのなかで、生きることの喜びと、「死」の新たなとらえ方を描くヒューマン・ファンタジー映画『死神バーバー』。本作で、新米の死神・サクマを演じている日穏(STARGLOW)さんに、劇中での注目ポイントや作品のテーマについてなどを伺いました。
©『死神バーバー』製作委員会
<あらすじ>
職場でもプライベートでもうまくいかずイライラしていた佐伯美帆(桜井日奈子)は、ある日、うっかり階段で足を滑らせてしまう。その後、目を覚ますと、目の前にいた新米死神・サクマ(日穏)に自身が死んだことを告げられ、怪しい美容室「冥供愛富(メイクアップ)」に連れてこられる。そこは、死者の魂が冥土に送られる前に訪れる場所だった。現世と冥土を行き来することができる死神たちは、あの世に送られる前に最後のスタイリングをして、現世に残された家族や大切な人と1日だけつなぎ、「最期の別れ」の手助けをしている。しかし、サクマのミスにより、美帆の本当の死は数日後であることが判明して……。
映画『死神バーバー』に出演が決まったときの気持ちと、ご自身の演じるサクマという役どころについて教えてください。
僕はちょっとクセのある変わった役に惹かれるので、死神美容師という役を演じられることがうれしかったです。死神自体が得体のしれない生き物ですが、さらに美容師であるというけっこう滅茶苦茶な世界線で。脚本を読んだときは、テキパキとしたマジメな堅いキャラクターなのかなと思っていたのですが、いざ撮影現場に行ったら最初に監督にそのイメージを覆されて、コミカルなキャラクターというとらえ方に変わりました。
撮影をしながら、監督と作品を作り上げていった?
そうですね。監督の解釈を教えていただいて、それを自分のなかに落とし込み、監督と少しずつ練り合いながら、役を作り上げていきました。サクマはまっすぐに生きているからこそ、矛盾を生み出す「人間」に惹かれるわけですが、そうやって人間に惹かれているところもちょっとかわいいですし、ピュアだなと思いますね。
役へのアプローチは、どのように?
死神役ということで、どのように役作りをすればいいかわからなかったので、特別”こういう役作りをしました”ということはありません。ただサクマは、どストレートな性格なので、ストレートに演じることを心がけました。
ファンの方のSNSなどでの反応を見ると、人間以外の役を演じるということに対して好意的にとらえているコメントが多いように感じました。
はい、すごくうれしいです。普段の僕とはまた違うサクマとしての僕も、新しい姿として見てもらえたらと思います!
今回、いまおか組に入ってみて、どのような印象を受けましたか?
いまおかさんチームの方々が皆さんやさしくて、現場の雰囲気はほんわかしていましたね。いまおかさんとも、休憩時間に一緒にごはんを食べながら、他愛もない話をしたり。まるで親戚のおじさんのような、親しみやすい雰囲気があるんですよ。
いまおか監督に、クリエイティブな面で影響を受けたところはありますか?
先ほど言った、自分の死神に対する固定概念を覆されたのもそうですし、宇野祥平さん演じる沼田賢治が、人との距離の詰め方をミスって急に抱きついてきたりする描写によって歪んだ愛情みたいなものを表現したりとか。”サクマのいる死神の世界線では、こういうふうにしているんだろうな”というような、セリフの奥の動きみたいなところを指導していただくことが多かったですね。よく見ると、いろんなところに細かい演出が散りばめられていると思います。
死神に対する固定概念というのは?
やっぱり、死の世界へ連れ込む悪い人、みたいな。ビジュアル面では、カマを持ってフードをかぶって、ドクロみたいな顔をして、というイメージがありました。でもこの作品では、まず「死神美容師」という世界線で、死神としては新人ですが、1000年もの間、死神をやっているわけですよね。なのに、人間に影響されることなく生きてきたわけじゃないですか。その頭の固さっていうんですかね?そういう部分など、ビジュアルも性格も生き様も職業も、自分の今まで知っていた死神とはなにもかもが違いました。
細かい演出が散りばめられているということですが、日穏さん的注目ポイントを教えてください。
僕がクランクインして最初に撮影したのが、美帆を冥供愛富(メイクアップ)に連れていくというシーンなのですが、その道中でサクマがヘンな動きをするんです。そのシーンと、先輩と社交ダンスをしながら叱られるシーンは、監督の指示どおりにお芝居をしたのですが、それ以外は自由にお芝居をしてほしいというスタンスだったんです。自分なりに解釈して、アドリブで動きを入れたりしているので、そういったところに注目して観ていただくと、おもしろいんじゃないかなと思います。
美帆役の桜井日奈子さんの印象は?
いろんな表情をハッキリと大きく見せているのにもかかわらず、映像ではけっして大げさに見えず、自然とそのシーンのなかに落とし込まれているんです。さすが、長く俳優として活躍されている方だなと感じました。僕はまだまだ演技の勉強中ですし、吸収することがたくさんありました。
お芝居についてお話ししたりも?
いろいろなお話しをしたのですが、一番印象に残っているのは、僕が「(泣くシーンで)どうやって泣いていますか?」と聞いたら、「そのシーンを思い浮かべて、泣こうと思ったら泣ける」とお話しされていたこと。僕にはそれができないから、その言葉を聞いて、あらためてスゴさを実感しました。
ラストシーン近くの、サクマが死んだような目をしているお芝居、とってもよかったですけどね。
あっ、ホントですか!? ありがとうございます!あのシーンは前髪が付け毛なんですけど、撮影中、付け毛が気になりすぎてよく触ってしまったんです。でも、サクマも前髪が気になってしかたないという設定だったので、自然とリンクしました(笑)。
本作は「死」というテーマを扱いながらも、生きるという部分に焦点が当たっているように感じますが、日穏さんご自身はどう感じましたか?
重い題材ではあると思いますが、それをとてもポップに描いていて、この作品を観た後は自分や人の死に対する想いみたいなものが、自然と変わるんじゃないかなって。本作で、登場人物が亡くなるときは、みんなやり残したことがあって、それについていろいろなことを考えます。だけど、死後の世界でも、その人なりの人生を歩んでいくような気がするんですよね。「もしもこの世界線が本当にあったとしたら、自分はどう過ごすかな?」と考えられるのも、この作品の面白いところだと思います。
日穏/KANON
かのん
2006年4月3日生まれ、福岡県出身。
5人組ダンス&ボーカルグループ「STARGLOW」のメンバー。俳優としては、ドラマ『ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~』(2025年)でRUI・TAIKIと一緒にトリプル主演し、映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』(2025年)で映画初出演にして主演を務めた。STARGLOWとしては、7月22日(水)に3rdシングル『Drivin’ My Life』のリリースが決定している。
インタビューでは本当に20歳と驚くほど大人っぽく、出てくる言葉にも芯がある日穏さん。物腰も柔らかく、どんな方へも言葉の中に敬意や尊敬が表れているのを聞いていて感じました。作品についてもお芝居の経験が少ないところを認められていて、自分と向き合う姿についつい応援したくなるような雰囲気やオーラを感じました。またどんな立場でも謙虚に真摯に学ぶ姿勢にスタッフも改めて学ぶことばかりの時間となりました。後編ではグループのことやアーティスト活動にも迫っております。お楽しみに。
©『死神バーバー』製作委員会
映画『死神ハーバー』6月26日(金)公開
出演:桜井日奈子 日穏
岡部 大 平井亜門 猪塚健太
工藤 遥 宇野祥平 / 美保 純
©『死神ハーバー』製作委員会
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:井澤 明日花 (MASTER LIGHTS)
スタイリスト:佐久間 歩夢
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿・相澤花菜