時任勇気
ドラマ『24 JAPAN』唯一の
原作と同じ名前のキャラクター
彼が見つけた日本版「マイロ」の魅力とは
物腰柔らかな話し方、ほころぶ笑顔の穏やかさ、
初めましての時任さんは
「癒し」という言葉を体現しているように思えた。
「彼だったらどうするんだろう?」
「彼ならどう感じるんだろう?」
思わずそれを知りたくなってしまうような
人を惹きつける佇まい。
そしてそんな佇まいの根底にあるのは
揺らぐことのない重厚な決意。
折り重なるアイデンティティを
サラッと纏ってしまう彼に聞いた
「自身の話」と「作品の話」。
芸能界入りのキッカケ
家庭環境もあり、芸能界が身近な環境だったので、中学生の頃から興味はありました。「やってみたいな」と思いつつもいまいち自分に自信が持てず、なかなか一歩を踏み出せずにいたのですが、大学卒業が近づいた時に周りが進路を決めている中で、僕も自分の将来を考えて「思い切って俳優業にチャレンジしてみよう」と決心しました。「まずは形から自信をつけよう」と思い、短期間で体重を13㎏落とし、筋トレを始めました。
かなりストイックにダイエットされたんですね。
では、今後具体的にやってみたい
お仕事はありますか?
日本のドラマに出演していきたいです。僕、日本ドラマの恋愛や殺人ミステリーはけっこう独特だと思っていて。例えば恋愛だと、海外ドラマは「ストレートに想いを伝えてすぐにキスシーン」みたいな展開が多いような気がしますが、日本には「伝えない美学」があるじゃないですか。殺人ミステリーも海外は銃社会ですが、日本はそうではないので殺害方法も工夫をして見せるようにしていて興味深いです。それがまた新たなミステリーを生むと思いますし。そういった日本独特の要素が入った役にチャレンジしてみたいですね。
なるほど。確かに言われてみるとそうですよね。
時任さんが影響を受けた作品はありますか?
僕は幼少期、日本以外にカナダやニュージーランドに住んでいた期間があるのですが、11歳の時に日本へ戻ってきて日本ドラマを観ていた時に、父(時任三郎)が復帰作で『Dr.コトー診療所』に出演していて、実は僕もロケ地の与那国島に夏休みの期間一緒に連れて行ってもらったことがあるんです。実際にロケ現場を見ていた作品が放送されているのを観て「こんな風に出来ているんだ」と理解できましたし、影響を受けた作品の一つになりました。
「役者をやる」という時任さんの意志に対して
お父様は何かおっしゃられていましたか?
「やりたいことをやればいいよ」と言われました。昔から「あれをやれ」「これをやれ」と言われたことはないのですが、僕がやりたいと言ったことは全力で応援してくれました。仕事に関してはお互いにあまり話さないですね。少し前に「24 JAPANの2話観たよ~」と父に言われて「まだ出てないよ~」という会話はしました(笑)。
ゆる~くて素敵です(笑)。
撮影時に「家族の男性陣の中で
僕が一番背が低い」と仰っていましたよね。
そうなんです。父が188㎝で弟が190㎝で僕が186㎝なので、家族の男性陣の中では僕が一番低くて。3人で小さな車に乗ると、車が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい窮屈なんです(笑)。妹と母も合わせて5人家族なのですが、時任家はそれぞれが自分のやりたいことをやって自由に生きている家族ですね。
テレビ朝日『24 JAPAN』
アメリカ連邦機関CTU(テロ対策ユニット)の捜査官ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が、凶悪なテロ事件と戦う姿を描いた米国ドラマ『24』(邦題:『24 -TWENTY FOUR-』)。本作は2001年に放送を開始するや、1シーズン(全24話/24時間)をかけて1日の出来事をリアルタイムで描く革新的なスタイル、そしてスピーディーかつスリリングな展開で視聴者を圧倒し、世界的大ヒットシリーズとなりました。そんな超大作を、テレビ朝日が20世紀FOX社と組んでリメイク!“米国史上初のアフリカ系アメリカ人大統領”が誕生するまでの24時間を描写したオリジナル版のシーズン1をベースに、初の日本版リメイク『24 JAPAN』では“日本初の女性総理”が誕生するまでの24時間を克明に描きます。
<マイロ>
CTUの暗号解析係。日本版リメイク『24 JAPAN』において唯一原作と同名の登場人物。
マイロ × 時任勇気
出演が決まってからオリジナル版の『24 -TWENTY FOUR-』を観て、オリジナル版のマイロは「ずっと怒っている役だな」という印象でしたが、ただ日本版の台本に描かれているマイロは可愛らしい部分が多かったので、日本版の設定を意識するようにはしました。もちろん怒るところは怒るんですけど。マイロは海外生まれのエリートとして育ってきて、海外に住んで働くという選択肢もあった中で日本へ来てCTUの組織に入った人。上司にタメ口で話したり、おつかいを頼んだりするんです。正直そういう人がいたらちょっとムカつくじゃないですか(笑)。それでもみんなに愛されるのはマイロに信頼される仕事の腕や魅力があるからではないかな、と思いますね。
普通であれば「ムカッ」とされちゃうことでも
「マイロだから許される」って
羨ましいですよね(笑)。
「羨ましいな」と素直に思います。「自分が言いたいこと、やりたいことを人の目を気にせずにできる」って、日本人はあまりできないじゃないですか。空気を読んだり、発言ひとつするにもいろいろと考えたり。そう思うとマイロはありのままの姿で生きている人なんです。僕もマイロみたいになれたらどれだけ楽しくて楽だろうか…と思います(笑)。ありのままに生きてみんなに好かれるってすごいことですよね。
今作は共演者の方々もかなり豪華ですが
撮影中のエピソードは何かありますか?
唐沢さん(唐沢寿明)とはまだワンシーンしか撮影していないのですが、とても重要なシーンで現場も緊迫感がありました。僕も緊張してNGを出してしまったのですが、唐沢さんが誰よりも先に「大丈夫だよ」と声をかけてくださって。「かっこいいな…」と思いました。
暗号解析係のマイロ。
この役柄特有の難しさはありましたか?
マイロはずっとブラインドタッチでキーボードを打っているのですが、癖でチラッと見てしまうんですよ。適当に打ってはいるものの、監督から「もっと早く打って!」という指示があった時はセリフを言いながらだったので「もっと速く!?頭が追いつかない!」と困惑した時もありました(笑)。マイロのキーボード裁きがどんどん速くなっていく様子も見どころです。
Highlight of 『24 JAPAN』
24時間がリアルタイムで進行していくドラマなので、一時間、一話、一瞬も見逃せない緊迫感が続く物語だと思います。そして本編とは別の配信スピンオフ6分30秒ストーリーにも注目していただきたいです。本編中には入りきらなかった「なぜこうなったのか」というストーリーが分かるので、ドラマ本編と一緒に観ていただけるとより楽しめるのではないかな、と思います。
Highlight of マイロ
マイロの撮影初日にプロデューサーさんに「緊迫感が詰まっているシーンが多い作品だけど、マイロが入ることでちょっと変わった。マイロには良い意味でスパイスになってほしい。」と言われたんです。マイロは非日常的なことが起こり続けている中でもマイペースなキャラクターなので、マイロを通してCTUの日常を楽しんでいただけたら、と思います。
時任勇気
ときとう ゆうき
1991年10月2日生まれ。
多彩な色の混ざり気を自分色に染め上げて、
一つの寛大な陽だまりを生み出してしまうような人柄に心奪われる29歳。
テレビ朝日開局60周年記念『24 JAPAN』/マイロ役
毎週金曜よる11時15分~ ※一部地域を除く
出演:唐沢寿明 仲間由紀恵/
栗山千明 池内博之 桜田ひより 筒井道隆 木村多江
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:佐々木麻里子
スタイリスト:荒木大輔
インタビュー・記事:満斗りょう