日向 亘
ドラマ『GTO リバイバル』
「鬼塚先生と対峙するシーンはものすごく緊張した」
ドラマ『GTO リバイバル』に、宇野晴翔役で出演する日向 亘さん。ケガで野球ができなくなり、家庭問題に苦悩するという難しい役どころだが、どのように役ヘアプローチしていったのか。鬼塚を演じる反町隆史さんとのエピソードを交えながら、撮影の思い出や本作の見どころを語っていただきました。
<あらすじ>
元暴走族の高校教師・鬼塚英吉(反町隆史)が、私立相徳学院高校に赴任してきた。この高校では、どんなネタでも詮索・拡散して炎上させる暴露系インフルエンサー「裁ノカ笑」が問題になっており、校内に裁ノカ笑がいるのではないかと、生徒たちは疑心暗鬼になりながら学校生活を送っている。かつてグレイト・ティーチャーと呼ばれた鬼塚が、令和の高校生とどう向き合い、社会の裏側にくすぶる問題を解決していくのか――。
ドラマ『GTO リバイバル』への出演が決まったときの気持ちを教えてください。
“反町隆史さんの鬼塚先生”が26年ぶりに帰ってくるという。僕自身は世代ではないですが、僕らの親世代……それこそ、僕の両親も当時熱狂していた名作ドラマが新作として帰ってきた。その生徒役で出させていただけるのは、すごく光栄なことだと感じています。何より、僕に声をかけていただけたことがとてもうれしかったです。
出演が決まったとき、
ご両親はどんな反応でしたか?
めっちゃ喜んでいました。と同時に僕のことをすごくうらやましがっていました(笑)。
26年前の『GTO』の内容は、
当然ご存じないですよね。
そうですね。AKIRAさん主演の『GTO』がオンエアされた当時、僕は小学生で、めちゃくちゃ(『GTO』に)ハマっていたので、ドラマのテイストや鬼塚先生がどういうキャラクターかというのはもちろん知っていたんですけど。反町さんがどんなふうに鬼塚先生をやられていたのかを知るために、クランクイン前に当時の映像を見て予習しました。
日向さん演じる宇野晴翔は、野球で推薦入学するも、ケガによって野球ができなくなってしまうという役どころです。
宇野くんはとにかく野球が好きで、まっすぐ一生懸命に野球と向き合ってきた普通の高校生だったんですけど。野球ができなくなったことで、父親から虐待のような言葉の暴力を受けるようになってしまうんです。大人に不信感を抱き、自分の生きる価値……存在意義みたいなものを見失いつつあるなかで、親や大人たちへの向き合い方がどう変わっていくのか。そして、鬼塚先生や、岡崎(紗絵)さん演じる綾原先生と向き合うことによって、どう変わっていくのか。ぜひ、そこに注目してほしいです。
ご自身のXに「念願の野球部!」と
ポストしていましたね。
昔、野球をやっていたので、何かお仕事につながればいいなって漠然と思っていたんです。それが叶ってよかったなって。
でも、役の設定上、野球の腕前を披露する
シーンはあまりないのでしょうか。
そうですね、宇野くんはケガをしてしまったから(笑)。でも、バッティングセンターでボールを打つシーンとかはあるので、そういうところに経験値がちゃんと出ていればいいなと思います。
バットを振るだけでも、
野球経験の有無がわかるのですか?
やっぱりスイングだけでも、野球をやっていた人とやったことのない人では全然違いますね。
本作の公式ホームページのコメントに「鬼塚先生と対峙するシーンは、反町さんの気迫に圧倒されないよう精一杯ぶつかって演じました。」とありましたが、撮影時の様子を教えてください。
鬼塚先生に自分の思いの丈を感情的にぶつけるシーンは、ものすごく緊張しました。だって、あの伝説の教師・鬼塚先生ですから!気迫もスゴいし、オーラもある。そんな人を相手にどう牙をむくべきか、すごく悩みながら本番に臨んで。どうしても圧倒されてしまって何度も怯みそうになりましたけど、がんばって立ち向かっていきました。
日向さんは、あまり緊張しない
イメージがありますが。
そうなんですよ!ビックリしました、自分でも。“こんなにも緊張するなんて!”と。
それだけ反町さんのオーラがスゴかった?
(しみじみと)カッコよかったですねー。ただ、なんとなく話しかけづらくて……。いや、反町さんは気さくに「おはよう!」って声をかけてくれるような、めちゃくちゃ物腰の柔らかい方なんですが、どうしてもちょっと緊張しちゃうんですよね。まぁ、その撮影まで、同じシーンがあまりなかったというのもあると思うんですけど。
そのシーンの撮影前は、反町さんと
打ち合わせをしたのですか?
あんまり……お互いに集中していたので、お話をする時間はなかったですね。自分のことだけに集中していたような気がします。
では、本番中にその場で生まれたものがそのまま映っていると。
そうですね。僕もまだ完成した映像を見ていないので(取材は2月上旬)、ドキドキです。
宇野くんを演じるうえで、
役へのアプローチはどのように?
宇野くんは、僕があまり経験したことのないような深い傷だったり、挫折や葛藤、苦悩といったものを味わっているので、どう演じようかなっていうのはすごく悩みました。本読みの前に家で台本を読みながら、“こうやってみようかな。いや、でもこうやってみるのもありかな”とか、“もっとこうしたほうがいいのかな。いや、これくらいのほうがいいのかな”とか、めちゃくちゃ悩んで。何が正解なのか全然わからなくて。そのまま本読みの日を迎えてしまい、監督に「僕はこのパターンとかこういうパターンとか、キャラクターについていろいろと考えたんですけど、結局どれがいいかわからなくて」とお話ししたんです。
正直に。
はい。そうしたら、監督が「正直、僕も今、宇野くんのキャラクターをどうするべきか、すごく悩んでいるんです。」って。「だから、現場で一緒に探りながら、悩みながらお芝居を作っていきましょう。」とおっしゃってくださったんです。監督がまだ悩んでる段階だったら、僕が今ここで決めるべきじゃないな。現場で、監督とその都度その都度セッションしながら、一つひとつの感情の起伏を作っていければいいんだって、すごく気持ちが軽くなりました。
「GTO」は“Great Teacher Onizuka”の略ですが、ご自身をアルファベット3文字で表すと?
えーっ、何だろう!?僕は日向だから、最後はHってことですよね?
それは、特にこだわらなくても。
うーん……Active Actor Hyuga!
「AAH」ですね。
あははは!やっぱり、恥ずかしいのでやめていいですか。(スマホを取り出して)ちょっと調べてみよう……うーん……いや、「Active Actor Hyuga」でいきます!
その心は?
能動的に物事に取り組んでいきたい。そして、アクティブに……そのまんまだな(笑)。今の自分を表しているというより、願望ですね。モットーみたいな。「アクティブなアクターでありたい日向」です。
本作の見どころを教えてください!
今回、ドラマの舞台となっているのが令和の時代なので、生徒の抱える問題だったり、社会全体の問題とかっていうのも令和ならではというか。インターネットやSNSが普及して、当たり前にある今の時代だからこそ起こる問題……例えば、暴露系のインフルエンサーであったりとか。パパ活問題とか闇バイトとか、そういう今の社会問題がフィーチャーされているドラマなんです。
かなり時代が変わりましたもんね。
はい。なので、26年前には描かれていないものが今回の『GTO』では描かれているし。鬼塚先生の生徒との向き合い方も、あの当時だから許されていた部分もあるじゃないですか。それが、時代が移り変わって、今起きている問題に鬼塚先生がどう切り込んでいくのか。そして、その切り込み方がどこまでなら許されるのか。どういった向き合い方だったら今の時代に合っているのか、という部分に注目してほしいですし、見る人たちの興味をかき立てるところでもあるんじゃないかなと思います。
日向亘
ひゅうが わたる
2004年3月18日生まれ。
元気な挨拶と共に明るく満面の笑顔で登場された日向さん。屋上での撮影では、ビルの影や太陽の光を味方に色々なポーズや表情をカメラに向けてくださいました。カメラマンと楽しそうに会話をしながらサラッとポーズを決める姿はスタッフも見ていて自然とかっこいいと発してしまうほどに素敵でした。撮影の移動時では、屋上までの道のりで何よりもまず周囲のスタッフさんに「階段疲れてないですか?」と気遣う日向さんの優しい一面も見ることができました!そんな明るく、優しい日向さんですが、後編では、苦労したお話や悩まれた過去も伺っております。お楽しみに!
最近の出演作に、テレビドラマでは、テレビ朝日『マルス-ゼロの革命-』(‘24)フジテレビ『うちの弁護士は手がかかる』(‘23)、毎日放送『君となら恋をしてみても』(‘23)、NHK『大河ドラマ どうする家康』(‘23)、TBS『ペンディングトレインー8時23分、明日君と』(‘23)、などがある。4月19日スタートテレビ朝日金曜ナイトドラマ『JKと六法全書』に渡辺悠役でレギュラー出演する。
『作品情報』
【タイトル】カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』
【放送枠】4月1日(月)よる9時 (カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
【出演】反町隆史
岡崎紗絵 小手伸也 八木莉可子 畑芽育 日向亘 / 鈴木浩介
池内博之 山崎裕太 窪塚洋介 徳山秀典 小栗旬 藤木直人
松嶋菜々子
【原作】藤沢とおる『GTO』(講談社「少年マガジンKC」刊)
【脚本】山岡潤平
【音楽】福廣秀一朗
【主題歌】 「POISON」 BLUE ENCOUNT × Takashi Sorimachi(ソニー・ミュージックレーベルズ)
【プロデューサー】安藤和久 河西秀幸 田端綾子
【演出】深川栄洋
【制作協力】メディアプルポ
【制作著作】カンテレ
<ストーリー>
鬼塚英吉(反町隆史)が赴任するのは、私立相徳学院高校。この高校で問題となっているのは、フォロワーが200万人近くいる暴露系インフルエンサー“裁ノカ笑”。有名人も一般人も関係なく、どんなネタでも詮索&拡散して炎上させており、これまでに相徳学院の教師や生徒が何人も晒されてきた。あまりに狙われるため、校内に“裁ノカ笑”にふんする犯人がいるのではないかとのうわさもあり、生徒たちは日々お互いの顔色を伺い、疑心暗鬼になりながら学校生活を送っている。そんな相徳学院で働くのが、事なかれ主義の教頭・富士山田剛司(小手伸也)。そして、3年1組の担任で、生徒にはあまり介入すべきでないというスタンスで教師をしている、日本史教師の綾原美結(岡崎紗絵)。鬼塚はそのクラスの副担任をつとめることになる。3年1組の生徒には、 2人で暮らす仕事一筋の父・市川晃一(鈴木浩介)と関係がうまくいっていない、優等生キャラの市川すずか(八木莉可子)。仲の良い両親のもと幸せに暮らしていたが、父の会社の不正が“裁ノカ笑”に暴かれ倒産してしまった、遠藤凛(畑芽育)。野球の推薦で入学するも、ケガによって野球ができなくなってしまったことで、父親から日々ののしられている、宇野晴翔(日向亘)。そんな悩みを抱えた令和の高校生を前に、鬼塚はどんな熱血授業を繰り広げるのかー。
※Item Credit
ブルゾン5万600円、シャツ3万4100円、カットソー1万2100円、パンツ3万7400円、スニーカー3万8500円(すべてラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL 03-3470-6760)
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:佐々木麻里子
スタイリスト:五十嵐堂寿
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿