『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』

 ×

 町田啓太

ドラマのお話をいただいてから原作を読ませていただき、「人と人は想い合っていても上手くいかないことがある」というもどかしさ、そしてそのすれ違いを越えて上手くいった時のちょっとした嬉しさなど、作中での繊細な気持ちの描かれ方にすごく温かみを感じました。加えて「他人の心の声が聞こえてしまう」という部分にはすごく笑わせてもらいましたね。一体どんな作品になっていくのかが楽しみです。

黒沢優一 × 町田啓太

黒沢は周りから見ると順風満帆に人生を歩んでいる理想の人。でも実際、彼の中には抱えているものがあって。理想の人に見えているからこそ「頑張らなきゃ」というプレッシャーを常に感じている人でもあるんですよね。本人は外見や印象ではなくて「内面を見て接してほしい」という想いが人一倍強い人物なんだと思います。そういった部分をきちんと意識しながら演じつつ、初めて同性に恋愛感情を抱く役をさせていただくので、そこも丁寧に演じていきたいです。普段の完璧な彼と「安達のことを好きすぎて止められない想い」が心の声として漏れちゃっている彼のギャップをお芝居で面白く表現したいと思っています。

初チャレンジの役柄の相手役・赤楚衛二さんとは

初めましてですよね？

そうですね。今回の共演で初めてお会いしたんですが、第一印象ですごく気の良い方だという印象を受けました。純粋さもありながら、でも考えていることはすごくしっかりされていて。上からに聞こえちゃったら申し訳ないんですけど、取材日などで隣に座って赤楚さんのお話される説明やインタビューを聞いていても自分の意見をしっかりと持っていて頼もしいのに、ちょっと抜けている部分のかわいらしさもあったりして…（笑）。あとはお互いに剣道をやっていたり、昔好きだった音楽が同じだったりとシンパシーを感じる部分も多かったので、作品を一緒に作っていくのがより楽しみになりました。

「30歳」という年齢が

町田さんとちょうどリンクすると思うのですが、

20代と30代で変化を感じることはありますか？

以前よりは考えがまとまるようになってきた気がします。20代前半の頃は漠然と「とりあえず頑張ろう」と、頑張り方も分からないのに手当たり次第に進んでいた部分があったんです。今もその部分はあるものの「じゃあそれを実現するためにどういったアプローチをしよう」とアプローチを考える際の幅が増えてきたのかな、とは感じますね。

それは周りの方の影響ではなく、ご自身の中で？

周りの人たちと話す内容が変わったのは大きいかもしれないです。20代の時は自分のことで精一杯で、自分の話だけをすることが多かったんですよ。それが30代に近づくにつれて、話したこともなかった内容を話す機会が増えて「みんなはこんな風に考えているんだ」と新しい観点で会話ができるようになった気がします。

24歳から28歳の読者が一番多いFAST。

何かメッセージをいただけますか？

僕はまだ30歳までしか生きてきていないので、大先輩たちの意見は他にたくさんあると思うんですけど、現時点で思うのは20代後半の時期って周りの環境や周囲の人たちもすごく変わってくるし、焦りも出てくる時期じゃないですか。仕事でも「言われるがまま」というよりは、自分主導でやらないといけないことが多くなってくる歳でもあると思いますし。自分に合った動き方を試行錯誤しないといけない…でも先輩たちにもなかなか頼ることができない…そんな不安定な時期なのかな、と。すごくいろいろなことを考える時期だと思うので、僕はもう考えるだけ考えつくしたほうがいいと思います。結局30代になったらちょっといい感じにまとまってくるんですよ、これが（笑）。「あの時すごい悩んでいたけど、これってきっとこういうことだよな」と。正直いろんなことに悩んだ方が逆に視野を広げることができると思うんです。今は大変かもしれないけれど、今後に繋がるすごくいい経験になると思うので楽しんで日々を過ごしていけばいいんじゃないかな。現に僕はそうでした。

素敵なメッセージをありがとうございます！

では最後にこの作品を

どういった作品にしたいか教えてください。

すごく素敵な原作なので、その原作の良さをしっかりと取り込みつつ、僕自身も僕なりに解釈した黒沢を楽しんでいければと思います。たくさん笑って温かい気持ちにもなってもらえる作品になると思いますし、そんな作品にしていきたいと思っているので、みなさんにはラブコメを純粋に楽しんでいただきたいです。