小宮璃央
ドラマ『素晴らしき哉、先生!』
光源は高校生に似つかわしくない貫禄がある
現在放送中のドラマ『素晴らしき哉、先生!』で、やんちゃで学校では一人でいることの多い大木戸光源を演じている小宮璃央さん。訳ありな雰囲気の役どころを演じるにあたり、どのように役を作っていったのか。意外なアプローチ法が明らかに!また、共演者とのエピソードや、ご自身の高校時代のお話なども伺いました。
©ABCテレビ
<あらすじ>
高校教師の笹岡りお(生田絵梨花)は、夢と希望を胸に教育現場に飛び込んだが、2年目にして退職を考えるほどストレスフルな毎日を送っている。りおは毎日の愚痴をSNSの裏アカウントに吐き出したり、やさしい彼氏に聞いてもらったり、適度に発散しながら、持ち前の明るさと元気でどうにかバランスを保っていたが、ガマンも限界に。退職を決意するが、クラス担任に急きょ欠員が発生し、りおにお鉢が回ってきてしまう。初めての担任で3年生をまかされることになったりおの教師生活は、さらなる茨の道へ!はたして、りおの運命は……。
生徒役のオーディションは、応募数約1300人、約35倍という倍率だったそうですね。
オーディションを受けたのは去年なので、あまりはっきりとは覚えていないのですが、3次審査ぐらいまであったと思います。オーディションで演じた役と、今、実際に演じている役の名前が光源で同じなんですけど、まったく違うキャラクターなので不思議な感じがします。
大木戸光源役に決まったことは、どういうシチュエーションでお聞きになったのですか?
スケジュールを確認したら「(本作が放送されている)ABC(テレビ)」と書き込まれている日があったので、あっ、(オーディションに)受かったんだって(笑)。
あっ、わりとサラッと?
はい。いつも、ホントにサラッとしているんですよ。マネージャーさんから電話がきて、「受かりましたよ!」みたいなこともなく。
とはいえ、合格を知ったときはうれしかったですよね。
そうですね。ちゃんとお芝居を見て、この人にならまかせられると感じたから選んでくださったのかなと思うので。オーディションで役が決まるというのは、役者冥利に尽きます。
光源は、どんなキャラクターだととらえていますか?
父子家庭という環境で、暮らしているところもちょっとアングラな部分があったりするので、自分とはかけ離れた役柄だと思います。でも、光源を語るうえでキーパーソンになるのが父親なんですけど。男同士だからこそ、なかなか本音を言えない関係には共感できますね。
小宮さん自身は、反抗期はありましたか?
なかったですね……なかったのかな?もしかして、母親に聞くと「あった」と言われるかもしれないですけど(笑)、僕的にはなかったです。ウチは光源と逆で、母子家庭なんです。でも、僕は心から母を尊敬しているので、何でも話していましたね。「今、こんな仕事をしてるんだー」とか、自分の悩みとかも。
光源は外見もインパクトがありますが、衣装や髪型にはご自身の意見が入っているのでしょうか。
衣装合わせの前に、光源っぽい……台本から、この役がどんな髪型でどんな雰囲気なのかを考えてきてくださいと言われたんです。今、劇中でつけているカチューシャは自前なんですが、あれは衣装合わせのときに持っていって採用されたものなんです。ネックレスは、美術さんからいくつか候補をいただいた中から自分で選びました。
監督の宅間孝行さんは、キャストの意見もちゃんと聞いてくださるのですね。
宅間さんは、「リアルな高校生の生活を描きたい」とおっしゃっていて。今回のキャストは、数年前まで高校生だった年代の子が多いこともあって、僕たちが出した意見に対して「それ、いいじゃん!」と言って採用してくださるんです。なので、とてもやりやすい環境で撮影できています。
監督とは、お芝居についても細かくお話ししますか?
そうですね。宅間さん自身、役者もやっているから、芝居へのアプローチの仕方に説得力があるんですよ。本作では台本も書かれていて、“光源はこう言うだろうな”みたいなところもすべてわかっているので、光源がメインのシーンを撮るときも、すごく親身になって話を聞いてくださいますし。「今の芝居、どうでした?」と聞くと、いいときは「すごくよかったよ」と褒めてくれます。ダメな場合は「こうしてみたら?」と具体的に指示をしてくださるので、とてもわかりやすいです。
いただいたアドバイスのなかで、特に印象に残っているのは?
光源は、高校生に似つかわしくない貫禄があるというか(笑)。なので、自分の地声より数倍声を低くしてほしいと言われたんです。僕、本来はこのぐらい声が高いんですけど(と、地声に戻す)。実は、このインタビュー中もずっと低い声でしゃべっていたんです。
意識して低い声を出していたのですね!
普段から意識して暮らしてないと、いざ撮影で光源になるときに、パッと変えられなくて。だから、この作品の撮影が終わるまでは、基本的に(声を)低くしたままで生活しようと思っています。でも、だんだんと慣れてくるもので。光源のこういう太い声というのも、出しやすくなってきて。撮影が始まった当初にくらべると、だいぶ違和感なくしゃべれているような気がします。
共演者の方とのエピソードがあれば教えてください。
今、葉山(奨之)さんとのシーンが一番多いので、撮影の合間によくお話しするんですけど。葉山さんも、同世代にスゴい役者さんがたくさんいる中でお仕事をされてきた方なので、「(同世代の役者と)どんなお話をしていたんですか?」と聞いたら、「ポジティブな意味で、芝居のダメ出しをし合ったりしていた」って。それを聞いて、ホントにカッコいいな、自分もそんなことができる役者になりたいなと思いました。
葉山さんからは、お芝居のアドバイスなども?
葉山さんが、「“俺は誰にも芝居で負けてない”という自信を持っていたほうがいい」と言っていたので。“今回のクラスメイト(役の役者)のなかで、僕が一番芝居がうまいと認めさせてやる!”ぐらいの意気込みで臨んでいます。
今、同世代の役者の方がたくさんいらっしゃいますが、意識はしますか?
もちろん、します。
小宮さんの本格的な俳優活動のスタートとなった作品『魔進戦隊キラメイジャー』で共演された木原瑠生さんとはプライベートでも仲がいいそうですが、刺激を受ける存在ですか?
彼は舞台を中心に活動しているので、僕とちょっとフィールドは違うんですけど。5月に彼の主演舞台『ROCK MUSICAL BLEACH』を観にいったときに、普段はふざけているのに、舞台の最前線で戦って、座長としてみんなを引っ張っている姿を見て、尊敬するのと同時に俺も負けてられないなと思いました。
そういうことは、直接伝えたりはしないのですか?
いや、本人の前でもすごく褒めますよ。『ROCK MUSICAL BLEACH』の主演が決まったときも、「よかったね」って連絡しましたし、自分から(『ROCK MUSICAL BLEACH』の公演を)観にいかせてほしいとお願いしました。
では、お互いにいい刺激を受けていると。
たぶん……僕も彼に刺激を送れている……のでしょうか?(笑)
主演の生田絵梨花さんの印象は?
ご自分のコンサートをやりながら、この作品の撮影も毎日あるっていう。すごくお忙しいのに、キャストやスタッフのみなさんに塩分の入っているタブレットを配ってくださったり、ホントにやさしい座長です。
小宮さん自身は高校生時代、どんな生徒でしたか?
家では、思春期真っ只中の妹と弟がケンカしているし、兄と姉も社会人になる直前ぐらいの時期でピリピリしているし……みたいな感じで。そんななか、僕も反抗期とかになっていたら迷惑がかかっちゃうかなと思って、常に母には迷惑をかけないようにとか、なるべく話し相手になろうとか思っていた気がします。
お母様ときょうだいの間に立つというか。
そうですね、中間管理職じゃないですけど。おかげさまで、人の気持ちを汲みとるのがうまくなりました。世の中をうまく渡っていく術といいますか(笑)。
「男子高生ミスターコン」などに入賞されたりしていたので、華やかな学校生活を送っていたのかと。
いや、全然そんなことないですよ。高校時代はバレンタインも母からしかもらったことないですし。当時の自分の写真を見返すと、顔がちょっとぷくっとしていて決してイケメンとはいえないんですよ。だからモテなかったのかなーって。
意外なお話です。
以前、ある番組で、“小宮璃央の高校生生活を掘り下げよう”みたいな企画をやっていただいたことがあって。10年来の親友二人が、電話でゲスト出演してくれたんです。ディレクターの方が盛り上げようと、「小宮さんを一番近くで見ていたお二人なら、モテエピソードをご存じですよね?」と聞いてくれるんですけど、二人に「あいつ、ホントにモテなかったんすよー」とか言われちゃうくらい(苦笑)。
改めて、今後の光源的見どころを教えてください。
これは後々わかってくることですが、光源の父親の前職というのが、世間的に胸を張れるような職業ではないんです。だから、父に対して尊敬の心がなくて、何を言われても好き勝手に生きていたところがあるんですけど。第4話では、父親の本音だったり、前職を辞めた理由をちゃんと聞いたことで、光源の父を見る目が変わるんです。そこはすごく重要な部分だと思うので、ぜひ注目して見てほしいです!
小宮璃央
こみや りお
2002年11月19日生まれ。
ドラマの撮影中の間に取材をしたので、役作りからドラマについてのこと、現場での雰囲気を小宮さんならではの言葉でたくさん伝えてくれました。憧れの先輩とのエピソードから今のドラマの共演者の方とのエピソードではとてもにこやかに弟感が溢れ出ているかのようにお話ししてくださるのがとても魅力的でした。今までの努力されてきたことのお話ではガラッと表情が変わりしっかりとした男らしい顔つきで圧倒されてしまいました。またインタビューが終わり、スタッフが帰るタイミングではわざわざ控え室から出てきてくださり、ありがとうございましたと声をかけてくださり、誠実な一面と小宮さんのたくさんの姿を見させていただきました。後編では憧れの先輩とのエピソードについて聞いております!ぜひ予想してみてください!
最近の出演作に、テレビドラマでは、ABCテレビ・テレビ朝日系『素晴らしき哉、先生!』(‘24)、中京テレビ『初恋ハラスメント~私の恋がこんなに地獄なワケがない~』(‘24)、ABCテレビ『18歳、新妻、不倫します。』(‘23)、映画では、2024年8月23日公開松竹『恋を知らない僕たちは』(‘24)、『グランギニョール』(‘22)などがある。
©ABCテレビ
ABCテレビ・テレビ朝日系『素晴らしき哉、先生!』
毎週日曜よる10時 放送中
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:阿出川綾
スタイリスト:MASAYA
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿