小宮璃央
“小宮璃央を応援していてよかった”と思ってもらえる人間になりたい
2020年、特撮ドラマ『魔進戦隊キラメイジャー』で、テレビドラマ初出演にして主演を務め、その後も映像作品を中心に活躍中の小宮璃央さん。俳優業をスタートさせた当初の気持ちから、芝居に対する取り組み方の変化や目標まで、じっくりとお話しいただきました。また、前回のご登場時にアツく語っていたラーメンへの愛も、ますます増しているようで……。
幼少期から役者の仕事をしていたそうですが、2020年、『魔進戦隊キラメイジャー』で本格的なスタートを切りました。当時は、どんな心持ちでお仕事に臨んでいましたか?
子どもの頃から芸能の仕事をしたいという夢はあったんですが、受験を機にあきらめていたので。「男子高生ミスターコン」でその扉が開いて、さらに戦隊シリーズのオーディションにも受かったときは、感慨深いものがありました。ただ、当時は16、17歳だったので、現場が楽しすぎて、仕事とプライベートの境目がわからなくなっちゃうときもありました。
例えば?
『魔進戦隊キラメイジャー』で、7歳上の先輩にタメ口で話したりとか。今だったら、絶対にそんなことしないですけど。
その方には怒られなかったのですか?
キラメイブルーを演じていた水石亜飛夢なんですが、最初にタメ口でいいよと言われたので、「じゃあ」という感じで(笑)。呼び方も、最初は「亜飛夢くん」だったのが「亜飛夢」と呼び捨てになり。一周回って、今は名字呼びになりました(笑)。まぁでも、彼とは約2年間、毎日のように撮影で顔を合わせていたこともあって、先輩だけど先輩じゃない、みたいな。お互いにいいところも悪いところも見てきたし、ケンカもしたし、今はもう家族みたいな感覚なんです。実はおとといも、木原瑠生と3人で乾杯していました。
かけがえのない仲間ができたことも含めて、戦隊シリーズからのスタートでよかったと。
そうですね。この世界のこともいろいろと教えてもらいましたし、すごく勉強になりました。
以前とお芝居への取り組み方が変わった部分はありますか?
まったく違うかもしれないです。当初はいわゆる特撮芝居になっていたのが、今はリアルなお芝居を心がけています。
それは、何かきっかけがあって?
戦隊が終わった後、ドラマに出させていただいたときに(芝居を)直されたりすることがあって。特に『永遠の昨日』というドラマでは、特撮ならではの芝居のしかたと全く作品のイメージが違ったのでどうにかクセを抜こうと必死でした。
お芝居の楽しさは、どういうところに感じますか?
自分とは違う人間になれるというところに、楽しさを感じます。やっぱり、自分が生きている中で……『素晴らしき哉~』の光源というキャラクターも、絶対に自分のなかにはない部分なので。母子家庭の僕が、もし父子家庭で生まれ育ったらこういう感じだったのかなとか、いろんな想像もできますし。ここで経験したことが、また一つ人間としての成長につながるのかなと思ったりもするし。役によっていろんな考え方を経験できることが、毎回の楽しみになっています。
逆に、お芝居に対して難しさを感じることはありますか?
よく「リアリティを追求しろ」と言われるのですが、作品によってそのリアリティが全部違うんですよね。だから、作品にクランクインする前に、ご一緒する監督の作品を見て、この監督にとってのリアルって何だろう?撮りたいものって何だろう?と考える時間を作るんですけど。そこはやっぱり、毎回難しい部分です。
そのリアリティは、撮影をしていく中で試行錯誤しながら見つけていくのでしょうか。
ただ、(クランク)インする前に試行錯誤しておかないと、最初に撮ったシーンと最終話のシーンの芝居がまったく違うものになっていた、なんてこともあるかもしれないので。今回だったら、宅間さんのタクフェス(TAKUMA FESTIVAL JAPAN)の映像とかを見て、監督の作り上げたい芝居はどういうものなのか、というのをあらかじめ頭に入れてから撮影に挑みました。
そういったことは、いつ頃からできるようになったのですか?
うーん、『永遠の昨日』での経験が大きいですかね。小林(啓一)監督に“リアルというのは、こういうことだ”というのを教えていただいて、気づきがいっぱいありました。
幼少期から芸能活動をしてきて、この仕事を一生続けたいという覚悟が決まった瞬間というのはありましたか?
4年前、この世界にしっかりと足を踏み入れたときです。そこからずっと、その気持ちは変わっていません。僕、背水の陣でやっているんです。自分は、この仕事以外にできる仕事がないと思っているので。例えばデスクワークだったり、そういう仕事には絶対に向いてないと思うんです。だから、もうこの仕事がなくなったら死ぬ、ぐらいの覚悟で。常に必死に仕事をしています。
今のお仕事が自分に合っていると感じる部分は?
人とのつながりが広がっていくにつれて、自分の人間としての厚みがどんどんどんどん増していくのを感じるんです。そういうところで、今の仕事は自分の性格に合っているんだなと、すごく思います。この仕事に出会えてよかったなと思います。
前回、2021年12月にFASTにご登場いただいた際、目標として「20代で日本アカデミー賞をとること」を挙げていらっしゃいました。
それは、今も変わらないです。僕、一番大好きな先輩俳優が高橋文哉くんなんです。僕がこの世界に入ったきっかけである「男子高生ミスターコン」の先輩でもありますし、二人同時期に特撮ドラマで世界を守っていましたし(笑)、今もお芝居の相談をしたり、すごくお世話になっているんですけど。今の自分の大半は、彼から教えていただいたものでできていると思っていて。文哉くんの仕事に対する向き合い方だったり、台本の読み方だったりも、全部真似しているんです。
そうなんですね!
それぐらい、ホントに尊敬している先輩なんですけど。去年、アカデミー賞授賞式のステージに立つ文哉くんを見たときに、負けてられないなと思う反面、背中が遠いよーって思うところもあったりして……。今、最前線で戦っている文哉くんの背中を追ってがんばっていますけど、僕も早くアカデミー賞のステージに立って、いつも応援してくださっているみなさんに“小宮璃央を応援していてよかった”と思ってもらえる人間になりたいです。
同インタビューでラーメン好きだともおっしゃっていましたが、ラーメン店巡りは継続していますか?
続いていますね~。常にラーメン食べていますね~(笑)。僕、8月に公開される映画『恋を知らない僕たちは』に出演しているんですけど、撮影場所が福岡県だったんですよ。福岡といえば博多ラーメンじゃないですか!ということで、撮影期間に食べに行ったりしていました。
体型への影響はないのですか?
大丈夫ですね。たぶん、当時は家系ラーメンが大好きと言っていたと思うんですけど、今はラーメン二郎がナンバーワンです。去年、舞台『西遊記』でご一緒した加藤和樹さんも二郎が大好きなんです。おウチで“加藤二郎”と呼ばれている二郎系ラーメンを作って、共演者の方に振る舞っているぐらい。僕も何度かいただいたことがあるんですが、それがきっかけで、さらに二郎熱が高まりましたね。『西遊記』の地方公演でも、福岡、名古屋、大阪と、各地で和樹さんと二郎を食べにいきました。
さすがです!(笑)
でも、今は『素晴らしき哉、先生!』の撮影中なので、全然食べてないんですよー。
では、ドラマがクランクアップしたら……。
はい!がっつり食べます!(笑)
小宮璃央
こみや りお
2002年11月19日生まれ。
ドラマの撮影中の間に取材をしたので、役作りからドラマについてのこと、現場での雰囲気を小宮さんならではの言葉でたくさん伝えてくれました。憧れの先輩とのエピソードから今のドラマの共演者の方とのエピソードではとてもにこやかに弟感が溢れ出ているかのようにお話ししてくださるのがとても魅力的でした。今までの努力されてきたことのお話ではガラッと表情が変わりしっかりとした男らしい顔つきで圧倒されてしまいました。またインタビューが終わり、スタッフが帰るタイミングではわざわざ控え室から出てきてくださり、ありがとうございましたと声をかけてくださり、誠実な一面と小宮さんのたくさんの姿を見させていただきました。後編では憧れの先輩とのエピソードについて聞いております!ぜひ予想してみてください!
最近の出演作に、テレビドラマでは、ABCテレビ・テレビ朝日系『素晴らしき哉、先生!』(‘24)、中京テレビ『初恋ハラスメント~私の恋がこんなに地獄なワケがない~』(‘24)、ABCテレビ『18歳、新妻、不倫します。』(‘23)、映画では、2024年8月23日公開松竹『恋を知らない僕たちは』(‘24)、『グランギニョール』(‘22)などがある。
©ABCテレビ
ABCテレビ・テレビ朝日系『素晴らしき哉、先生!』
毎週日曜よる10時 放送中
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:阿出川綾
スタイリスト:MASAYA
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿