津島修治 × 青柳翔

“太宰治”と聞くと「情緒不安定で自殺未遂を繰り返し、勉強するよりも本を書くことに夢中になり、自分の世界に浸っていた人」といった暗めのイメージがあったんですが、この戯曲に関しては、その「太宰治らしさ」が明るく滑稽に描かれていると感じたのが最初に本を読んだ感想です。5度目の再演なので稽古までに過去に津島を演じられた方たちのお芝居も観ていきたいと思いますし、同時に「自分だったらどう演じるかな」といった部分もしっかり考えて勉強していきたいと思っています。

“男の友情”がキーワードとなってくる今作。
青柳さん自身が“男の友情”を
感じたエピソードを教えてください。

『劇団EXILE』という劇団をやらせてもらっているので、その劇団での活動の中で“男の友情”を感じますね。公演中はぶつかり合いなど様々なことがあるんですけど、公演が終わった後はそれまでのことがチャラになって「ま、いっか」となる。そういった関係性は「何かいいな～」と思いますね。

自立した絆を感じるエピソードですね！
演劇界の伝説と言っても過言ではない
井上ひさしさんの台本。
読んだ時、どう感じましたか？

言葉がすごく巧みで素晴らしいと感じました。難しいことも書かれているけれど、すごく優しいというか…ちゃんと観ている人たちに寄り添うような書き方をされているんですよね。作中に「死」に関する表現もあるんですが、過去上演の映像を観る限り、重い雰囲気にならないようにできているんです。それこそが井上さんの言葉の巧みさであり、この作品の見どころでもあるのかなと思います。熱い青年たちが思想や友情について語っている部分なんかは、劇団内で演技論を語っている滑稽さに少し似ているとも思うので、そういったところも楽しみながら演じたいです。

「“太宰治”を主人公とした作品」と聞くと、
知識が必要だと感じちゃう方も
いらっしゃると思うのですが…

知識はなくても楽しんでいただけると思います。もちろん太宰さんのファン、『こまつ座』さんのファン、そしてこの作品自体のファンの方がたくさんいらっしゃる中での再演だと思うので、演じる僕自身はそれに向けてしっかり勉強をするつもりです。

5度目の再演、どう演じたいですか？

まだ分からない部分も多いのですが、きちんと勉強して鵜山さんのお話も一度お聞きしたいです。そのうえで、この作品に参加できること、また、133回公演というすごい歴史を持つ『こまつ座』さんが自分をキャスティングしてくれたことへの感謝を“津島”という男に真摯に向き合っていいお芝居をすることで返していけたらと思います。「キャスティングして良かったな」と思っていただけるよう、純な気持ちで頑張ります。

では最後に楽しみにしている皆様に
メッセージをお願いします！

『人間合格』は、いろいろな世代の方が愛し、大切にしている作品だと思います。稽古期間、本番含め大切に演じさせていただくので劇場にその姿を観に来ていただけたら嬉しいです。