中沢元紀
貪欲さはこれからも忘れたくない
2022年に俳優デビュー後、ドラマ『下剋上球児』『ひだまりが聴こえる』など話題作に出演。2024年には『ファストブレイク』で映画初主演を務め、2025年にはNHK連続テレビ小説『あんぱん』での演技が話題になるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの中沢元紀さん。多忙な日々のなかで大切にしていることや、今後の目標などをお聞きしました。

写真集「ルート」のインタビュー内に、事務所のレッスン生期間中に書いていたという“ノート”のお話が出てきます。昨年11月のFASTご登場時には、「当時は(ノートを書くことが)一番の精神安定剤になっていた」とおっしゃっていましたが、当時、書いていた言葉で、今も大事にしているものはありますか?
当時は「貪欲」という言葉を多く使っていましたが、その精神は、今でも忘れちゃいけないものだと思います。僕、役者は満足したら終わりだと思っているんです。だから、ありがたいことに、今はいろんな作品に携わらさせていただけて、毎日スゴいスピードで変化していくけど、貪欲さを忘れずに。一つひとつの作品に対しても、役に対しても掘り下げていきたいという気持ちは今でも変わらずあるし、これからも忘れたくない言葉です。
目まぐるしく変化していく日々のなかで、変わらずにいたいと思う部分もある?
役者としてはもちろんですけど、ひとりの人間として、“この人と仕事をしたら気持ちいいな”とか“この人と、もう1回お仕事したいな”と思ってもらえるように。1つの作品を作り上げるのってホントに大変なことですし、たくさんの方が関わっているものなので。その手前の部分といいますか、“この人といい作品を作りたいな”と思っていただけるような人間力の部分は、変わらず大事にしていきたいなと思います。
どんどんお忙しくなっていると思いますが、作品への向き合い方など、自分のなかで時間をとってやれることは、今もしっかりできていると。
そうですね。時間がないなかでも、ちゃんとそこは突き詰めていかないといけないと思っていますし。役作りの時間が長ければ長いほど、役に血が通っていくと思うので、そこは時間がなくともしっかりやっていかなきゃいけない。それが役者の仕事でもあるので、これからも大切にしていきたいです。
昨年はそのノートについて、「たま~に見返して気持ちを引き締めたりはしますけど、あんまり見すぎないようにしています」とおっしゃっていましたが、そのスタンスは今も変わらず?
そうですね。あのノートを書いていた当時はコロナ禍でもあり、何もできない時期だからこそ、書いていて意味があったのかなとも思うし。ノートに書くことによって、考えすぎちゃったりもするんですよね。もちろん、自分の原点に当たるものではあるので、(ノートを)捨てずに残しているし、すぐに取り出せる場所には置いています。

写真集のタイトルにちなんで……これからの人生の“ルート”を、どんなふうに描いていきたいですか?
難しいな……スピード感は必要ですよね。だけど、一つひとつのことをしっかりとやっていきたいですし、時には寄り道も必要だと思います。なので、最終的な目的地を設定しつつも、その前に細かく目的地に寄りながら、経験を積んでいきたいです。
その目的地を“目標”に置き換えても、同じですか?小さな目標を達成しながら大きな目標に向かっていきたい?
はい、そうですね。
では、現在地から一番近い“目的地”というと?
20代のうちに達成したいのは、ゴールデン帯ドラマの主演です。作品のジャンル問わず。

これまでたくさんの主演の方を見てきたと思いますが、特に現場での居方などがステキだったとか、勉強になったという方はいらっしゃいますか?
ドラマ『下剋上球児』でご一緒した(鈴木)亮平さんです。
そこは、今も変わらず。
変わらないです。
バディもので、鈴木さんとW主演とか。
あーっ、ステキですね!とはいえ、僕が亮平さんと並べる自信はないですけど……でも共演は、ぜひまたしたいです!

では、人生において分かれ道があった場合、何を基準に進む道を決めますか?
うーん、楽しいほう。とか、ワクワクするほうですかね。もしかしたら、ワクワクするのが茨の道な場合もあるかもしれない。でも、目先のことだけじゃなく、後々、自分の血肉になるほうを……経験として苦しかったとしても、“自分がより大きくなるには?”と自分に問いかけて選びます。
これまでの人生のなかで、一番迷った選択というと?
迷った選択……最近はないですね。芝居のことに関しては、迷いまくってますけど。でも、今までも人生の重要な部分については、あんまり迷わずに突き進んできた感じがします。役者を始めるときもそうでしたし。
お芝居について迷ったときは、どうやって解決するのですか?
自分なりの選択肢はいろいろと持ちながらも、現場で監督や共演者さんと話し合って、“あっ、こっちのほうがよさそうだな”と、その場の空気を感じながら選んでいきます。

先日は、「第41回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 AUTUMN/WINTER」(以下、TGC)に初出演されましたが、いかがでしたか?
楽しかったです!
緊張はしなかった?
はい。というか、なんかもう、よくわからなすぎて緊張しなかったです(笑)。

共演者のなかには、面識のある方もいらっしゃいましたが、お話しはされましたか?
しました!写真もいっぱい撮りました。綱(啓永)くん、(高橋)文哉、夏生大湖くんとか、共演したことのある人も多くて。水沢林太郎くんとは、1回だけ会ったことがあったんですけど、ひさしぶりに再会して。あんなに同世代の人たちが集まる機会はなかなかないので、楽しかったです。
写真集の発売イベントでは、全国5カ所を回るそうですね。TGCでランウェイを歩く際には、客席の声援を浴びたと思いますが、直接ファンの方と触れ合えることについては、どう感じていますか?
いやぁ、役者にはなかなかないことなので。東京、名古屋、大阪、福岡、札幌、全部楽しみです……し、来てくださった方に楽しんでいただけるようがんばります!

中沢元紀
なかざわ もとき
2000年2月20日生まれ。
身長が高く、スタイル抜群ながら、どこか犬のような可愛らしさのある中沢さん。FASTには2回目の登場でしたが、前回より撮影に慣れている様子で、緊張せず、すごくリラックして色んなポーズをカメラに向けてくださいました。インタビューではご本人的にはあまり顔つきが変わっていないように感じるとおっしゃっていましたが、一年ぶりの中沢さんは凛々しく、逞しさがよりパワーアップしているように感じました。これからもお芝居に対して貪欲にストイックに挑戦されながらも、シャイでハニカム笑顔の可愛らしい中沢さんのご活躍を応援しております。一年ぶりのご登場ありがとうございました!
最近の出演作に、テレビドラマでは、フジテレビ『最後の鑑定人』(‘25)、NHK連続テレビ小説『あんぱん』(‘25)、テレビ東京『ひだまりが聴こえる』(‘24)、フジテレビ『366日』(‘24)、映画では、『ファストブレイク』(‘24)、『さよならモノトーン』(‘23)などがあり、10月31日より配信開始の『連続ドラマW-30 ストロボ・エッジ Season1』、11月14日公開予定『君の顔では泣けない』、12月5日公開予定『WIND BREAKER / ウィンドブレイカー』を控えている。

©中沢元紀 ファースト写真集『ルート』/ワニブックス刊
〈書誌情報〉
中沢元紀 1st PHOTOBOOK
『ルート』
ワニブックス刊
※Item Credit
衣装協力:CULLNI、ロックポート
※Team Credit
カメラマン:鈴木寿教
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:田中トモコ
インタビュー:林桃
記事:林桃/有松駿

